2015年度 第4回定例会 一般質問(答弁つき)/2015年12月1日/米沢ちひろ

【米沢ちひろ議員】
 私は、日本共産党を代表して一般質問を行います。
 はじめに戦争に道を開く安保関連法について区長の基本姿勢をお伺いします。

 11月13日にパリで起こった同時多発テロで犠牲になった方々に哀悼の意を表したいと思います。テロはどんな理由があっても許されません。同時に軍事的な対応は事態を悪化させるだけです。それはアフガン報復戦争、イラク戦争でテロが急増したことを見れば明らかです。

 安倍政権はこうしたテロと戦争の悪循環に日本を巻き込む戦争法を9月、多くの国民が反対し、多くの法曹関係者から憲法違反であると指摘されているにも関わらず、それを無視して強行しました。これは民主主義の基礎である立憲主義を破壊し、憲法で規定された主権在民、平和主義を否定する緊急事態です。これに対し国民から今度は「賛成した議員を落とそう」「野党は共闘を」との声が広がりました。私たちはこの声に応え、国民連合政府構想を提案し、政党・団体・個人に広く呼びかけを行っています。これには歓迎の声も寄せられています。ぜひこれを実現し、何としても戦争法を廃止させるために力をつくします。

 私たちは区議会でもこの法案の様々な問題点を指摘し、区に対して反対の意思を国に示すよう繰り返し求めました。しかし、区は「国民の代表である国会など国政の場で論議すべきもの」「動向を注視していく」「高度に政治的な判断が必要」と明確な態度を避けてきました。それでも現状は区の答弁と矛盾をきたしています。

 例えば2014年第2回定例会での我が党の一般質問に対する答弁で、「憲法に関わる課題については、国民による議論が最も大切で、国民の意思が尊重されるべきもの」としています。しかし、実際には多くの国民の意思を無視して成立が強行されました。

 さらに2015年第2定例会では憲法尊重擁護義務のある公務員の立場から、この法案の違憲性をどう認識しているのかとの問いに対し、区は「憲法には改正について規定した条文もあります。憲法解釈や改正について議論することと、(公務員の)憲法尊重義務は何ら矛盾するものではない」と正面から答えませんでした。

 しかし、問題は議論どころか、閣議決定で解釈をねじ曲げ、憲法と矛盾する法案を、しかも区の言う憲法改正のまともな手続きも経ず、成立させたことです。これは立憲主義を二重三重にも破壊するものであり、憲法尊重義務を負う公務員として安倍政権の対応は許されない行為ではありませんか。あらためてお答えください。

 民主主義破壊はこれだけではありません。沖縄では翁長県知事が行った辺野古への埋立承認取り消しに対し、一私人とは認められない沖縄防衛局が国に行政不服審査を申し立てるなど、国家権力による無法な制度の乱用が行われています。さらに特定秘密保護法やマイナンバー制度、防衛費の増大、消費税増税など戦争への布石がいくつも打たれています。

 こうした中で区内に二つの基地を抱え、オスプレイが配備されようとしている横田基地に近い練馬では、戦争法が区民生活にも大きな影響を及ぼすことは間違いありません。あらためて区民の生活と命を守るため、安倍政権が強行した安保法制に反対の意思を示すべきではありませんか。答弁を求めます。

【横野総務部長】
 平和安全法制は、国会で憲法解釈も含め審議された結果、可決・成立したものであります。公務員の憲法尊重擁護義務に反するものではないと考えております。
 また、これらの法律は、平和主義を堅持しながら、我が国そして国際社会の平和と安全をどうやって守るか、そのためにどのような安全保障の仕組みが必要かなどについての審議を経て成立したものであります。区として意見を申し上げる考えはありません。 以上であります。

【米沢ちひろ議員】
 次に、マイナンバー制度への対応について伺います。
 練馬区では、予定より一ヶ月以上遅れて11月18日から通知カードの配達が始まりました。12月半ばまでにメドをたてる考えのようですが、35万世帯の1割以上に通知カードが届かない事態となろうとしています。簡易書留で配達されても在宅していなければ不在者連絡票が置かれ、ほぼ一週間以内に本人確認ができるものを持参して郵便局に行かなくてはならず、それを過ぎれば区役所に行くことになります。受け取られなかった通知カードは2017年6月には破棄処分されます。これでは責任を持って通知カードを区民に届けることにはなりません。区の見解をお示しください。

 マイナンバーカードの交付申請窓口は、区内6カ所の区民事務所の中に設けられ、職員5人、委託3,4人体制で、本人確認、代理人確認、15才未満や成年被後見人への対応などたいへん難しい作業をおこなうことが予測され、職員には過大な負担です。窓口で交付を受けるには、15歳以上の方は個別に、15歳未満の方は親権者と同伴でということです。2017年6月までに26万人の申請を見込むとしていますが、この体制で対応できるのかどうか、また、正確に対応するための教育をきちんと行うべきです。お答えください。

 同時に、区の見込み通りいくかどうかわからない時点で自動交付機をなくすことを前提に進めるのは、行政手続きの簡素化、行政のサービス向上をかかげる区の方針とも相容れません。お答えください。

 介護、保育園、制度融資などマイナンバーと関わる区の仕事も少なくありません。介護では認知症や精神障害のある人の番号の提供、書類の記載、保管などについて、また、制度融資の申し込みの際の確定申告書に記載されている番号の取り扱いなど注意を要することから検討すべき課題が多くあると認識していますが、どうでしょうか。お答えください。

 マイナンバー制度に対する国の対応は、内閣府は個人番号カード取得は任意であり、また記載がなくとも不利益はない。扶養控除申告書、源泉徴収票などの法定資料や雇用保険、健康保険、厚生年金保険などの書類に番号が記載されていなくても書類は受け付け、従業員、事業者への不利益はないとしています。国税庁も確定申告書などに番号未記載でも、受理し、罰則・不利益はないなど内閣府と同様の回答をしています。区が扱う税・社会保障でも国と同様の態度をとるべきと思いますが、区民に混乱を招かないためにも区の対応を明らかにすべきです。お答えください。

 すべての中小業者は、 従業員、パートとその家族から番号の提出をもとめなければならず、税と社会保障に関する手続き書類に記載し、提出し、管理することも求められています。そのための事業所の費用負担も少なくありません。流出させれば罰則も課せられます。パート労働者が多く、出入りが激しい事業所での管理は大変で、従業員などが提出を拒む場合のトラブルも予想されます。帝国データーバンクの意識調査では、対応完了と答えた企業はわずか6.4%で、予定はあるがなにもしていないが21.6%。区内中小業者の多数が、どう対応していいかわからないという状況です。こうした事態に区は今後どう対策をとるのか、お答えください。

 このマイナンバー制度は、公正・公平な社会の実現、つまり、国、自治体などが所得や他の行政サービスの受給状況を把握し、負担を不当に免れることや不正給付の防止を目的として国民に12桁の番号をつけ、管理すると説明してきました。しかし、本質的には徴収強化と社会保障の抑制・削減が目的です。3年後には預金口座にも広げられ、個人資産まで把握しようとしており、しかも、情報漏えいを完全に防ぐことができないのに、警察による犯罪調査や税務署による調査には一切の規制が及びません。国民のプライバシーを大きな脅威にさらすマイナンバー制度は現状から見ても凍結、中止すべきと考えますが、区の見解をお聞きします。

【中村啓一企画部長】
 私から、マイナンバー制度における事務取扱上の課題と制度の実施についてのご質問にお答えします。

 制度の導入時には、具体的な事務について様々な対応方針を個別に定めていく必要があります。例として挙げられた認知症の方などにかかるマイナンバーの利用については、今後国から出される予定の、利用の留意点などに関する通知を踏まえて、区として適切に対応してまいります。産業融資の申し込みなどマイナンバーを利用しない事務で、区に提出された添付書類にマイナンバーが記載されていた場合には、その部分をマスキングして判読不能にするなどの対応を予定しています。

 マイナンバー制度は、社会保障、税制度の効率性・透明性を高めるものです。国民にとって利便性の高い公平・公正な社会を実現するための社会基盤として、法律に基づいて実施されます。区は、個人情報の保護に万全を期して、制度の導入と運用にあたってまいります。

【唐澤区民部長】
 私からマイナンバー制度についてお答えいたします。
 まず、通知カードの配達についてです。
 
 区民の方が受け取れなかった通知カードは、理由を調査し、転送される普通郵便で区内転居先等にお知らせします。区役所まで取りに来ていただくか、簡易書留で再度送付するか、可能な限り区民にお届けするよう努めます。区は責任を持って通知カードの送付に取り組んでおります。

 次に、個人番号カードの交付体制についてです。
 交付窓口では、1日当たり600件程度の交付を見込んでおります。これに対応するために各窓口に区職員5人と委託職員4人を配置する予定です。これを基本として事務の繁閑に応じて弾力的に対応してまいります。
 職員等に対してはすでに研修を実施しております。今後マニュアルの習熟を図ります。
 次に、自動交付機についてです。

 平成29年6月が自動交付機のリース期限でもあり、経過措置としてコンビニ交付と並行稼働させます。この間に個人番号カードの周知や取得の勧奨に努めます。コンビニ交付は、国内約4万8千か所で、朝6時半から夜11時まで提供できるものであり、行政サービスが大幅に向上するものです。

 次に、申請書類に個人番号の記載がない場合の対応についてです。
 区税の申告や国民健康保険の申請をする際に個人番号が必要な場合は、原則として個人番号の記載を求めることになります。自分の個人番号がわからない等の理由で記載することが難しい場合には、申請書類等はそのまま受理し、職権により職員が記載する対応をいたします。

【市村産業経済部長】
 私から産業経済についてお答えいたします。
 マイナンバー制度導入に伴う中小企業の対応についてです。従業員等が個人番号の通知を受けてから、各事業者において対応に着手されるものと考えておりますので、産業振興公社では、すでに、マイナンバー制度に関するセミナーの開催や窓口相談の充実に努めております。今後も、円滑な導入に向けて区内事業者を支援してまいります。

【米沢ちひろ議員】
 次に、子どもの貧困について伺います。
 この間、子どもの貧困率は増加の一途をたどり、直近の12年は16.3%と、より高い率で貧困が広がっていることが明らかになりました。

 世界第三位と言われる経済大国日本で、親の低収入や失業、離婚、死去など経済状態の悪化などがもたらす子どもの貧困をどう解決するか。国も自治体も突きつけられている深刻な問題です。

 2013年に全会一致で成立した貧困対策法は、事態を打開する第一歩となり、「貧困な状況にある子どもが健やかに育成される環境」の整備などのため、教育・生活・経済的支援などの施策づくりを国や自治体の責務としました。

 しかし、実際は安倍政権のもとで昨年8月にようやく閣議決定した「対策大綱」は、その多くが従来の施策を束ねただけで「給付型奨学金」の導入や、一人親家庭の児童扶養手当の改善はありません。しかも「アベノミクス」で生活必需品の高騰などは低所得世帯を直撃し、消費税増税がさらに追い打ちをかけるという状況が生まれています。

 練馬区内では経済的理由で修学旅行に行けない子、給食のない夏休みに痩せてくる子どもおり心配の声が寄せられています。また親の離婚歴や虐待も貧困に大きく影響していることが厚労省の調査でも明らかになっており、区の虐待相談は5年前の2010年で586件から14年度では611件と増加、何日も入浴させてもらっていない子など放置できない状況があります。

 子どもを育てる大人労働環境、生活改善とともに、いまこそ貧困の連鎖を断ち切り、子どもの暮らしと学ぶ権利を十分に保障する取り組みが求められています。

 その第一が、貧困の実態調査です。
 私どもは、この間の定例会で足立区など先進自治体に学んで、子どもの貧困について実態調査の実施を求めてきました。しかし区は「生活困窮世帯の子どもへの支援は重要な課題と認識」しているものの、「さらに検討を深める必要がある」と調査の実施は見送る考えを示しました。

 一方国は子どもの貧困について、効果的な支援策を出すためには実情を把握する必要があるとして実態調査を実施する方針を決め、希望する区市町村を募り、調査項目も各自治体に委ねる考えを明らかにしました。練馬区として都を通じて手を挙げるべきです。

【前川区長】
 昨年もお話を致しましたが、私は、東京都に勤務していた時代から、例えば路上生活者対策に、都として初めて積極的に取り組むなど、貧困の問題についても様々な努力をしてまいりました。区政におきましても、区長になった当初から、大きな課題として捉え、考え続けてきました。

 ご指摘をいただくまでもなく、まずは実態の把握が必要であり、すでに縦割りの壁を排して、区の保有する客観的なデータを総合的に分析し、その結果を区政改革推進会議の中で明らかに致しました。

 区民の生活水準全般は、各区との比較では、著しい貧困ではないことが確認できた一方で、ひとり親家庭など、支援が必要となる家庭の実態も明らかとなっています。
 今後、効果的な支援策についての調査を行い、その結果を踏まえて、必要な施策を検討してまいります。

【米沢ちひろ議員】
 第二は、子ども食堂の取り組みへの支援です。

 国や自治体が本気でこどもの貧困問題に取り組むかどうか、その姿勢が問われているもと、民間の研究者や市民団体による自主的な活動が広がっています。

 その一つが子ども食堂で、練馬区内には現在6カ所が誕生しています。今年4月にスタートした、ある子ども食堂は月二回の実施ですが、半年足らずで毎回50食以上の食事を提供しています。見学に伺った際も小学校就学前の子どもを連れたお母さんで賑わい、中学生も来ていました。温かくバランスのとれた食事を子どもは無料で大人のみ300円で提供していますが、現在食材の調達など運営にかかる費用は寄付でまかなわれ、練馬区の補助金の活用も困難で、先行き継続していける保障はありません。

 区内のある福祉事務所にお願いに行ったところ、まともに話も聞いてくれず、チラシすら置いてもらえなかったなどの声が寄せられています。すべての福祉事務所や子どもにかかわる公共施設での周知を行うべきです。

 こうした民間の取り組みについて区はどのように把握しているのでしょうか。また、区として支援の必要性についてどのように認識していますか。

 今、区内のこども食堂にはマスコミだけでなく、他自治体からも視察が相次いでいます。練馬区として区内の子ども食堂の視察もして、主宰者や利用者の声を直に聞き取るべきではありませんか。

【大羽福祉部長】
 子ども食堂の運営状況については、会場の見学や、直接お話を伺うことなどにより把握しています。
 子ども食堂は貴重な地域福祉活動の一つであると考えております。チラシでの周知を含め、相談や要望については、すでに可能な限り対応しているところであり、引き続き意見交換を行い、運営団体とともに連携の在り方を考えていきます。
 運営団体の自主的な活動を尊重し、現時点で補助金の交付等による支援は考えておりません。

【米沢ちひろ議員】
  第三は学習支援です。
 練馬区は準要保護世帯の中学3年生に対する学習支援については、募集人数が予想を上回ったため対象者を拡大して実施する決断をしました。希望した家庭からは喜ばれ一歩前進といえます。

 しかしその影響で実施日数を週2回から1回減らし、冬休みに短期集中で実施するにとどまっています。子どもたちが真に学力を身につけるために、実施回数を当初の予定通り二回とし、場所も増やすなど拡充することを求めます。

 また、生活保護基準引き下げによって今年度就学援助受給から外れた子どもも対象に加えるべきです。以上3つの項目についてそれぞれお答え下さい。

【中村哲明教育振興部長】
 本年9月から開始した本事業は、受講希望者が想定を大きく超えたことから、10月から週1回のコースを2つ設けて追加実施したところであり、今年度はこの内容を変更せず事業を実施します。

 次年度に向けては、今年度の状況を踏まえて、事業内容の拡充について検討いたします。
 また、対象世帯の要件は、「就学援助制度」を前提としており、就学援助に該当しない子どもを対象とすることは考えていません。以上であります。

【米沢ちひろ議員】 
 次に認証保育所について伺います。

 今年4月から子ども子育て新制度がスタートしましたが、矛盾と行き詰まりに直面しています。その一つが認証保育所です。

 新制度の枠内に入っていない認証保育所は、今年4月1日現在、区内に34カ所、定員は1,065人ですが、今年4月認可保育所等に入れなかった子どものうち250人が入園しており、待機児の受け皿として一定の役割を果たしてきたといえます。

 しかし、認証保育所は都が独自に定めた基準で運営されているため、保育者の日々の努力では解決できない問題も多く抱えています。例えば子ども一人当たりの基準面積が認可の3.3㎡より低い2.5㎡の施設もあり、常勤保育士は6割以上と緩和されています。また多くの施設は、子どもの育ちに欠かせない園庭がありません。保育士の処遇も低く、先の定例会では賃金引き上げなどの補助金が補正予算として組まれました。保護者の経済的負担も大きく認可の応能負担と違って、月8万円というケースもあります。区には月2万円を上限に補助がありますが、認可との格差は大きく、子育て世代の払える額ではありません。

 都が制度を導入して以来、様々な問題が各地で起きています。最近では江東区でマンションの1階にある認証保育所が今年11月1日から休止しています。都内に8カ所の施設を持つ株式会社が運営していましたが、別の会社が買収したため、保育内容の変更や保育料の値上げ、給料の遅配などで保育士全員がいっせいに退職。代わりの職員も定着せず、運営できなくなったからです。しかも企業買収で運営主体が変わっても届け出だけで、保護者からの告発で初めて明らかになったといいます。

 元々この制度は、石原都政のもとで企業の経営感覚と競争力の発揮により、多様化する保育ニーズに応える保育所を設けると整備されてきましたが、今回の例は会社の都合で子どもたち、保護者、職員に多大な負担を負わせた典型的な例です。

 ところが東京都は、今回の事態について、安定的運営へ引き続き指導を行うと述べるにとどまっています。
 さらに、都内で複数の施設を運営する別の株式会社では、保育士が不足し正常な保育が困難で、都と区で指導・監督せざるを得ない保育所もあります。指導があっても改善は一時的なもので無責任な運営が事実上許され、経営が立ちゆかなくなれば年度途中でも閉園するという異常さです。

 東京都に対し厳しいチェックのもとで監督するよう求めるべきです。

 また、区内保育所などが運営不能に陥った時の対応についてもお聞きします。
 練馬区でも認証保育所は、現在練馬区内34カ所のうち30カ所が株式会社経営です。これまで述べたような事態を練馬で生まないため、区として日常的に保育の質をはじめ、人員体制など運営状況をチェックし、現在年間2回程度にとどまっている巡回指導を強化すべきです。

 同時に今、新制度で国は保育士割合の低い施設も認可し、株式会社の補助金の使途制限も認可保育所でなければ撤廃し、営利企業の参入を拡大させました。まさに保護者や働く保育士の願いとは逆行しています。練馬区としては公的保育の責任にしっかり立ち返り、保護者の求める認可保育所の抜本的増設と処遇改善で保育士の確保に力を尽くすことを求めます。答弁を求めます。

【堀こども家庭部長】
 まず、認証保育所に対する指導・監督についてです。
 現在、区内にある認証保育所34園のうち、制度創設時に保育室から移行された3園を除く31園は、児童一人あたりの面積の基準が、認可保育所と同等となっています。また、保育士資格を有する職員の割合は、6割以上の基準となっていますが、区では、保育士資格取得者数の増員に向けた支援を行っています。

 認証保育所の所在する区市においては、従来から都と連携した指導や検査を実施し、その結果に応じて改善の指導や勧告を行っています。今回の、他自治体における閉園も、こうした指導や勧告に基づき、事業者が判断したものと認識しております。

 万一、区内の認証保育所等が年度途中で閉園となるような事態が生じた場合には、認可保育所を中心とした一時的な緊急受入を行うとともに、近隣の保育施設への協力を要請し、転園を行うなど、児童や保護者への影響を最小限に留めるよう対応する考えです。

 また、区内認証保育所は、各事業者の努力により良質な保育を実施していますが、区においても定期的な巡回指導を行うことにより、保育の質の維持・向上を図っています。巡回指導は、訪問時間や調査項目を適宜変更し、効果的に行うとともに、必要に応じて、指導回数を増やして実施しています。今後とも適切な指導・監督を行っていきます。

 現在、区が行っている保育施設の整備は、認可保育所だけでなく、小規模保育事業など、多様な保育ニーズに応えられるよう、保護者が選択できる施設整備を行っています。また、都の補助金などを活用して、認証保育所を含めた保育士の処遇改善を図るとともに、有為な人材の育成と確保に努めていきます。

【米沢ちひろ議員】
 次に、ねりっこクラブについて伺います。
 
 豊玉小、向山小、田柄第2小学校において学童クラブと学校応援団ひろば事業を学校内で一体的に運営する「ねりっこクラブ事業」の実施が来年度に迫るもと、教育委員会は学童クラブ利用定員を90人へと増加させ、「支援の単位」として集団規模を45人ずつの2グループに分ける方針を明らかにしました。保育を必要とする子どもにとってなくてはならない学童クラブ機能をどう守るのか、区の姿勢が鋭く問われています。

 問題の第1は、子ども集団の大規模化の問題です。
 学童クラブの集団規模は生活の質に直結しています。現場からは緊急的応急措置である60人の弾力受入れで詰め込みは限界、指導員が足りず目が行き届いていない現状があり、子ども同士や指導員との関係性の希薄化も克服できないと大規模化の解消が強く訴えられています。

 近年の傾向として、学童クラブでも、ひろば事業でも福祉的配慮を要する子どもは増加の一途をたどっています。障がいを持つ子どもの受け入れも増えます。こうした子どもたちへの日常の関わりを手厚くすることは当然ですが、個々の子どもの体調を観察し虐待やいじめなどの異変やSOSを捉えるには、ひろば利用と合わせて100人を超える集団は大きすぎ、目が行き届かなくなることは明らかです。
 運営上も安全管理に大きな比重を置かなくてはならなくなり、学童保育の本来の役割は果たせないと考えます。区の認識をお聞かせください。

 また、今年の第一回定例会で制定した「放課後児童健全育成事業の設備と運営の基準に関する条例」では、第11条4項で「支援の単位を構成する児童の数はおおむね40人以下とする。」と定めています。待機児解消の道を、学童クラブを増設して定員を適正規模に戻すのではなく、一気に90人まで1.5倍化する方針としました。このことは、保護者と関係者に衝撃と不安を与えています。「支援の単位」を40人以下と条例で規定したにもかかわらず、弾力枠を加味して45人の利用定員を設定していること、また「支援の単位」で子どもの集団を分ける理屈で、際限のない定員拡大を招くのがねりっこ学童クラブの本質です。これで生活の場としての学童保育の質が守れるのか、区として保育の質をどのように維持しようと考えているのか見解を伺います。

 第2は、区の公的責任が後退する問題です。
 区の委託業務内容を記載した仕様書によると、ねりっこクラブの運営責任者は①区・事業者・小学校・学校応援団で構成する運営協議会に参加し、②学校側と専用区画について調整を行い安全確保にも努める、また、③配慮を要する児童への対応では、保護者や関係機関との連携・適切な対応を講じるなど業務も広範囲にわたっています。

 一方、区のコーディネート役の職員は運営協議会を運営するにとどまり、仕様書を見る限り、区の公的責任が大きく後退することは明らかです。これでは、事業者への丸投げと言われても仕方がありません。

 今後、学童クラブ需要の急増が予測されるもとで、ねりっこクラブを拡大する区の方針は見直し、学童クラブの増設で待機児解消するという本来のあり方に立ち戻るべきです。答弁を求めます。


【堀こども家庭部長】
 まず、ねりっこ学童クラブは、児童福祉法に規定する放課後児童健全育成事業と位置づけています。このため、条例で定める基準に基づく運営を行うことにより、学童クラブとしての機能を確保するとともに、学童クラブと同等の人員配置を行うなど現在の水準を維持する考えです。

 運営にあたっては、放課後児童支援員の認定を受けた職員を責任者として配置し、学童クラブとひろば事業に参加する児童が安全かつ充実した放課後を過ごせる環境を確保し、共に過ごせる時間を創出していくこととしています。従って、ねりっこ学童クラブの質が低いかのようなご指摘は当たらないものと考えます。

 次に学童クラブにおける支援の単位についてです。支援の単位は、大規模な児童の集団で活動すると、児童相互の人間関係の形式や、職員と個々の児童との信頼関係の構築が困難となることから設定された考え方です。
 このため区では、支援の単位に応じた職員を配置し、運営することにより、学童クラブの機能、水準を維持することとしています。利用定員が90名であることをもって質の低下を招くとのご指摘は当たらないと考えます。

 次に学童クラブの増設についてです。区は従来から学童クラブの校内化を推進して来ましたが、教室の転用や学校敷地内での施設整備の手法だけで対応することは困難であります。学校内の教室を有効に活用したねりっこクラブを推進することにより、増加する学童クラブの需要に応えていきます。

【米沢ちひろ議員】
 次に、産業振興における建設産業の位置づけを含めた住宅リフォーム助成制度の創設について伺います。

 この間、消費税8%への増税、アベノミクスによる物価上昇などが行われてきました。そのため、GDPは2014年度全体では0.9%のマイナス、15年度も年度当初から2期連続のマイナスと落ち込みが深刻です。日々の生活実感においても国民には実体経済の回復が実感できない状況が続いています。

 そうした中で、区内経済の活性化を図るためには、区内事業者への支援とともに、消費者である区民への需要喚起策が必要と考えます。

 練馬区の産業特性として、区内の事業所は、卸売業・小売業が最も多く、次いで建設業、宿泊業・飲食サービス業、医療・福祉等の生活に関連する産業が多く、また、アニメ産業は全国で最も多くの企業が立地している点が挙げられます。今年度中に策定を予定している「練馬区産業振興ビジョン」では、こうした特性を踏まえ、取り組みを強化すべき分野として、福祉・生活関連事業、農業、アニメ産業、商業、観光を挙げていますが、建設産業は挙げられていません。

 建設産業は、社会資本の維持・更新や災害時での対応など地域経済を支える上でも大きな役割を担い、雇用においても区内従業員数の1割を占めています。しかし、全国の許可業者数99年度の60万1千業者をピークにその後減少し、14年度はピーク時の78.7%、47万3千業者まで減少し、特に、個人事業者は著しい減少となっています。国は、リフォーム市場の規模を2020年までに20兆円に倍増させる目標を掲げ、今後リフォーム市場の拡大が見込まれます。しかし、家電ホームセンター等が18.3%、ハウスメーカー系が10%売上を伸ばし、もともと44%のシェアを持っていた町場工務店の職域を脅かしています。このままでは、町場の建設事業者の衰退を招きかねません。

 事業所数が多く、住宅都市という練馬の特性を考えれば、産業振興に建設産業も位置づける必要があると考えますが、区の考えを伺います。

【市村産業経済部長】
 練馬区産業振興ビジョンの策定にあたっては、日本標準産業分類の考え方をそのまま用いるのではなく、住宅都市である練馬区にふさわしい分野の考え方を取り入れました。そのため建設業ではなく、取り組みを強化する分野として福祉・生活関連産業としたものです。

【米沢ちひろ議員】
 2014年時点で全国628自治体が実施し、地域経済全体への波及効果の高さが実証されている住宅リフォーム助成制度は、人口72万人の住宅都市という練馬区の特性と合致した施策と考えます。

 茨城県土浦市では、国の社会資本整備総合交付金を活用して、市内個人住宅のリフォームを対象に、10万円を超える工事について費用の10分の1、上限10万円を補助する内容でリフォーム助成を開始しました。市長は、リフォームによる住環境の向上や地域経済の活性化につながったと効果を指摘し、「国の交付金の動向も踏まえ事業を継続していきたい」と、助成額の拡充を含めて検討する考えを明らかにしています。区はこうした他自治体で実施されている住宅リフォーム助成制度の経済効果についてどのように認識しているか、お答えください。

 区はこの制度の創設に対して、既に「住宅修繕資金融資あっせん事業」や「住宅改修費の給付事業」を実施していることを理由に否定しています。しかし、「住宅修繕資金融資あっせん事業」は区の事務事業評価で、問い合わせが多い一方で申込件数が少ないため、「目標を達成できず成果があまりなかった」との評価で、区民からも「住宅改修の助成金制度を創設してほしい」との声が寄せられています。

 これまで行ってきた区の住宅施策との関わり合いを整理し、国の交付金などを活用して「住宅リフォーム助成」制度を実施すべきです。答弁を求めます。

 以上で、日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【宮下技監】
 区はリフォームへの支援として、高齢者や障害者を対象とし、「住宅改修費の給付事業」を実施しています。
 また、一般家庭対象には住宅修築資金融資あっせん事業を行っており、今後、住宅リフォーム助成を行う考えはありません。
 なお、既に区が行っている事業に加え、リフォーム助成を行うことによる新たな需要の喚起は多くを見込めず、経済効果については限定的であると考えております。

【米沢ちひろ議員 再質問】
 子どもの貧困について、再質問します。区は貧困を大きな課題として認識すると言いますが、実態の把握・調査について、区の諸施策から吸い上げる実態で把握するというのが、実態の一部にとどまる調査であり、不十分です。
 広く子育てをしている区民への調査を行うこと、より多くの区民から実像を聞き取る必要があることから、国の調査実施に手を挙げて丁寧な把握を行うことを再度求めます。答弁を求めます。

【大羽福祉部長】
 区民全般の生活水準については、すでに区の保有するデータの分析により、課題が明らかになっています。この課題に適切に対応するため、ひとり親家庭の自立に効果的な支援策について調査を行います。子どもの貧困実態調査については、現在実施する考えはありません。