日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。
最初に税の在り方について質問します。

安倍首相は7月4日の参院選第一声で、税収が過去最高の60兆3564億円を記録したことに触れ「経済を強くすれば税収は増える」と胸を張りましたが、増えたのは国民からむしり取った消費税によるもので、1990年度比で法人税と所得税を合わせ12兆円以上も減っています。

こうなった原因は消費税導入から31年、消費税増収は累計349兆円であるのに対して、同時期に法人3税が累計280兆円の減収となり、社会福祉に使途されるはずだった消費税増収分の80%が法人税減税の穴埋めに使われてきたからです。所得税と住民税も1991年度のピーク時に比べて275兆円の減収になっており、消費税の国税収入に占める割合は2013年度の23.1%から2018年度には29・3%にまで拡大しています。

本来、税の原則は応能負担です。しかし、消費税は子どもや年金生活者、生活保護受給者、赤字経営の小規模事業者らからも容赦なく徴税し、食料品をはじめ全ての物やサービスに一律に課税され、人間の生存それ自体を課税対象にするため低所得者ほど負担が重くのしかかります。同時に、政府は増税の一方で社会保障のあらゆる分野で改悪・削減をしてきました。

その結果、『子どもに貧困を押しつける国・日本』の著者である山野良一氏によれば、2000年代の数値ですが、OECD諸国の子どもの貧困率をみると、所得の再分配前の子どもの貧困率と、税金や社会保険料などを引き、児童手当や年金など加えた再分配後の貧困率を比較したところ日本だけが再配分後の貧困率がさらに高まる逆転現象が生じています。実際、日本の相対的貧困率は15・6%、子どもの貧困率は13・9%、ひとり親家庭の貧困率は50・8%とOECD加盟国平均を上回っています。

練馬区でもこれまで消費税を「安定した財源」「国民全体が公平に担う」と評価してきましたが、生活困窮者に対しても一律に課税する消費税は、憲法に定められた「法の下の平等」「生存権」などの理念にも反すると考えます。区の見解を問います。

2014年に安倍政権が強行した8%増税の結果、働く人の実質賃金は年15万円も落ち込み、5年半が経過しても家計消費は回復するどころか、増税前にくらべて年20万円以上も落ち込むという深刻な消費不況に陥っています。日本経済は、消費税増税が繰り返された90年代以降、低迷を続け「成長しない国」になっています。OECDの調査でも過去21年間で主要国の賃金が大幅に増えている一方で、日本だけが8%減少したことが明らかになっています。

その一方で、アベノミクスの恩恵をうけた大企業は空前の利益を上げていますが、大企業の法人税負担率は中小企業の18%に比べ、10%しか負担していません。研究開発減税などもっぱら大企業だけが利用できる優遇税制があるためです。富岡幸雄中央大学名誉教授は大企業の実効税負担率を試算し、ソフトバンクグループは2018年3月期で税引前純利益が1624億2200万円だったのに対して納税額は500万円、実効税負担率はわずか0・003%にすぎないと指摘しています。

税法学の専門家らは、大企業優遇税制をあらため法人税に超過累進税率を適用すれば、2016年度で10兆4676億円であった法人税収が29兆1837億円に3倍化し、所得税についても同様に2兆9160億円から12兆7468億円に4・4倍化すると試算しています。これだけで約29兆円の税収が生まれ、2019年度予算の消費税税収19兆3920億円をはるかにしのぐ十分な財源が確保できます。

マレーシアでは2015年に6%で導入された消費税を、個人消費の刺激になると2018年に廃止しています。その結果、実質個人消費支出は昨年10月~12月期で8.5%増と高い伸びを示しています。長期にわたる日本経済の低迷を、打開しようと考えたら、政治が「5%への減税」という思い切った家計応援の希望あるメッセージを発信し、実行することが不可欠です。区は区民に寄り添うべき基礎自治体として、不公平税制による弱者の困難を国に伝え、弱い者いじめの消費税減税と廃止に足を踏み出すよう提言すべきではないですか。考えをお聞かせください。

【前川区長】

お答えいたします。税のあり方についてです。
税制のあり方は、時代によって変わるものです。
戦後日本の経済成長期においては、毎年増加し続ける所得税や法人税を基軸とした財政運営が可能でした。
しかし、少子高齢化と人口減少が進み、経済の低成長が続く現在の日本では、法人税や所得税だけに依存することは、もう無理なのです。それは、日本より先に経済の成熟化が進んだ加盟28か国において、消費税率20%以上が24か国である現状を見れば、一目瞭然であります。
大企業に増税すれば良いという議論は昔からありますが、それだけで膨大な国の財政需要を賄えるものではありません。しかも、企業の経済力を枯渇させて、国民生活を支える経済基盤そのものを破壊してしまいます。
今回国においては、こうした状況を総合判断して、少子高齢化に対応して社会保障の充実・安定を図るための新たな財源は、消費税しかないという判断に至ったものと考えます。
これが直ちに弱い者いじめと言うのはあまりに短絡的です。もちろん低所得者への対応は不可欠ですが、それは社会保障制度と合わせて対応すべきものと考えます。

【森田企画部長】

繰り返し申し上げていますが、消費税率引き上げの趣旨は、今後も増加が見込まれる、年金・医療・介護および子育て支援などの財源確保にあります。10月に行われた2%の引き上げ分は、それらに加え、教育負担の軽減、子育て層の支援、介護人材の確保等、社会保障の更なる充実に充てることとされています。

景気や人口構造の変化に左右されにくく、税収が安定していること、特定の層に負担が集中せず、国民全体で広く負担することができることから、社会保障の充実・安定を図るため、消費税による対応とされているものです。

一方、低所得世帯等の負担軽減を図る観点から、軽減税率の適用、プレミアム商品券の発行など、様々な支援策が実施されています。
加えて、新たに低所得世帯を対象に、年金生活者支援給付金の給付、0~2歳児の幼児教育・保育無償化が開始され、介護保険料の負担軽減の拡充も行われました。「増税する一方で社会保障はあらゆる分野で改悪・削減してきた」とのご指摘は当たりません。

今後益々、需要増が見込まれる社会保障に対処するためには財源確保が不可欠であり、今回の消費税増税は必要かつやむを得ない、というのが区の考え方です。消費税が憲法に違反しているというご指摘は的外れです。国に消費税の撤廃を求める考えはありません。私からは以上です。


つぎに手話言語条例について質問します。

耳の聞こえない聾者は長きにわたり、音声言語を理解できないことでさげすまれ、優生思想とも相まって他の障害者と同様に差別されてきました。日本では戦後まで、「手まね」と呼ばれた手話の使用を禁じられ、聾学校でさえ聾者のアイデンティティを深く傷つけてきました。しかし、そんななかでも手話が伝承され発展してきたのは、聾者が視覚でやりとりを完全に理解でき、表情で自分らしい意思疎通をはかれるなど、聾者にとって手話ほど気持ちが通じ合う言語が他になかったからです。

練馬聴覚障害者協会が主催した10月のワークショップでは当事者や支援者らが手話を使って生き生きとコミュニケーションをはかり、同時に聾当事者から行政への様々な要望が出されました。そこでは、「区が主催する通年の手話講習会では定員を上まわる志願者を抽選でふるい落としている。すべての者に講習を受けさせてほしい」とか、「聴覚障害児の通級学級は小・中あわせても区内3校のみ。ここでも手話に触れる機会は皆無」などの声が上がりました。
加えて、手話通訳者にかかわっても「派遣報酬は2006年以降、据え置かれたままで交通費さえ支払われていない」「区内4カ所の総合福祉事務所に設置された手話通訳の日数は年間124日にとどまり、事前に派遣要請しない限り手続きさえできない」「区庁舎内の手話通訳者の常駐や、不安定な身分を保証してほしい」などの要望が出ました。

国連障害者権利条約でも、日本を含む締約国に「あらゆる分野で平等を基礎とし、障害に基づく差別を禁止」すると定めます。日本は2013年の障害者基本法で初めて「手話は言語」と認め、東京都も「手話は言語であるとの認識に基づき、普及に努める」と表明しました。しかし、聾当事者らの思いを聞くにつけ練馬区の現状は、進んだ取り組みもあるとはいえ法の理念から見ればはるかに立ち遅れており、聾者が損なわれた人権を十分に回復しているとは言えません。
全国では聾者を取り巻く先駆的な取り組みがすすんでいます。大阪府は2017年にゼロ歳からの幼児期手話言語獲得支援事業を立ち上げました。北海道新得町では、地域おこし協力隊として手話推進員を配置。町内の全小・中学校児童は小1から中3まで毎年、手話学習の授業を受けています。石狩町では、小・中学校や学童クラブなどへの「手話出前講座」を年間200回催し、「手話カフェ」や「手話フェスタ」を毎年開催。消防士と救急救命士は聾者の生命を守るため、自らの発想で全国消防職員意見発表会に手話で出場を果たしています。これらの自治体は、すでに手話言語条例を制定し、その理念を実現すべく自治体としての取り組みを発展させています。

手話言語条例を制定した自治体はこれまで全国27道府県8区209市41町1村にのぼり、特別区でも8区で制定されました。練馬区議会は2014年、「手話言語法」制定を要望する意見書を全会一致で採択していますが、なぜ練馬区では手話言語条例を制定しないのでしょうか。その理由をお示しください。また、練馬区でもすみやかに手話言語条例を制定したうえで、先進自治体や当事者からの意見・要望に真摯に耳を傾け、十分な合理的配慮を提供できるよう区の施策に生かすべきではないでしょうか。2点お答えください。

【中田福祉部長】

私から手話言語条例についてお答えします。

平成23年8月、国は障害者基本法を改正し、手話を言語と規定しました。

聴覚障害者に限らず、視覚障害者、知的障害者など、コミュニケーションに困難を抱える障害状況は様々です。手話だけでなく、状況に応じた情報コミュニケーションを考える必要があります。
障害者基本法、昨年10月に施行された「東京都障害者への理解促進及び差別解消の推進に関する条例」を踏まえ、区は住民との最前線の窓口として、手話や点字、要約筆記、読み上げ装置、UDトークなどを活用し、様々な障害者への適切な情報提供の具体的な取り組みを着実に進めています。

区は、手話言語の獲得や手話で学ぶなどの基本的な権利の保障は、国が定めるべきと考えています。全国市長会や全国手話言語市区長会を通じて、手話が言語であることを広く国民に広め、手話を言語として普及、研究することのできる環境整備を目的とした手話言語法の制定を、国に対し、要望しています。

区はこれまでも、手話講座や手話通訳者養成・派遣事業などを展開し、聴覚障害者の皆様のニーズに応えるよう努めてきました。現在のところ、手話言語条例を制定する考えはありません。

今年度実施する障害者基礎調査の結果や他自治体の動向などを踏まえ、障害者団体等と定期的に意見交換を行いながら、より実効性のある合理的な配慮の提供に関する取組について検討してまいります。私からは以上であります。


次に児童虐待についてお聴きします。この間、児童虐待対策として児童相談所のあり方がクローズアップされてきました。しかし、児童相談所に関わる虐待事例はすべてではありません。子育ては誰にとっても大変であり、虐待を防ぐにはすべての子育て世帯を対象にした取り組みを行い、課題のある世帯を見つけ出して必要な支援につなげることが必要です。

例えば、産後うつを予防するために区としても産後健康診査事業を実施することや産後ケア事業の拡充を行うことで、障害や虐待など課題のある世帯を早期発見し、相談につなげ、孤立しがちな親の不安を和らげることができます。こうした施策をさらに充実させてフィルター機能を強化し、一人もとりこぼさない仕組みにすべきと考えますが、いかかでしょうか。

親たちのレスパイト機能を強化することも重要です。親が子どもから離れ、気持ちをリフレッシュすることで余裕をもたらし、虐待防止の大きな力になるからです。その役割を担っているのが、区が行っている乳幼児の一時預かり事業です。この間の利用実績をみると稼働率は約9割。申込が開始された途端すぐに予約で埋まってしまうほど人気です。人員面や施設面で大きな制約がありますが、体制強化して、ぜひ拡充を図っていただきたいと思います。その際、利用料が1単位1500~2000円と高く、とくに双子などの多子世帯では大きな負担となっています。保育料のように第2子以降は減免を行うよう強く求めます。2点お答えください。

虐待に対応するうえで子ども家庭支援センターの体制の強化も求められます。この間、区内5つの子ども家庭支援センター全体で相談件数は増え続け、昨年度はその前年と比べて約1.5倍の6402件、うち虐待相談は約1.4倍の449件となっています。その結果、直営における要保護児童数に対し職員一人あたりの受け持ち件数は53.4件と依然多い状況です。それに加え、今年度から児童相談所からの逆送致が加わり、泣き声通報にも対応しなければなりません。そのため子ども家庭支援センターの負担が増しています。

虐待の疑いのある家庭は子育てだけでなく、複合的に困難を抱えている場合も多く、子ども家庭支援センターは保健相談所や福祉事務所、さらに学校や保育園などと連携しながら支援を行うことが求められます。一方で虐待対応を行っているのは直営中心で、残り4つの子ども家庭支援センターは委託などで運営され、子育て支援を重点的に行っています。ところが委託されたセンターでは重要な個人情報を扱う場合、基本的に直営を通じてでしか他部署と連携できません。そのため迅速な対応が難しく、直営の負担を増やすことにもつながっています。

世田谷区では、すべての子ども家庭支援センターが直営であるうえ、区立保育園もほとんどが直営で連携がとりやすく、各部署が一つの世帯を集団的・複合的に支援しています。練馬でも重要な個人情報を扱う福祉事務所や保健相談所は直営になっています。本気で虐待を防止していくのであれば、子ども家庭支援センターをすべて直営に戻すとともに体制を強化し、集団的に対応できる仕組みを作ることが必要と考えますが、いかかでしょうか。2点お答えください。
この間、子ども家庭支援センターの人員を増やしてきたこともありますが、職員の経験年数が2.6年と短くなっています。委託も契約が最長5年であり、長く働き続けられることが困難です。人材育成する意味でも委託は見直し、児童虐待などに専念できる環境を整えるべきです。虐待そのものをなくしていくには対症療法だけでは限界があります。子どもに対する大人の見方を変えるとともに、母親だけに責任を押し付ける風潮を変えていくことが不可欠です。そのために人権教育や性教育の実施、子どもの権利条約に基づく区条例の制定など、子どもの意思を尊重し、子どもたちの心と体を守る仕組みを作っていくことが必要です。いかがでしょうか。

また虐待の大きな要因の一つである貧困を解消するために雇用制度の見直しや教育費の負担軽減、保険料の見直しなどを行う必要があるのではないでしょうか。こうした施策を区としてできるところから実施・拡充すべきです。お答えください。

【中田福祉部長】

私から、妊娠期からの子育て支援についてお答えします。

児童虐待を防止するためには、妊娠期からの切れ目ない支援が欠かせません。
区では、母子健康手帳をお渡しする段階から、保健師が現在の体調、家族の支援の見込みなどをお伺いし、区の育児支援サービスのご案内をしています。

出産後は、保健師等が生後4か月までの乳児がいる全ての家庭を訪問し、様々な悩みを聞いたり、子育て支援に関する情報提供を行っています。
産後ケア事業については、昨年度、実施施設を1か所から3か所に増設しました。

保健相談所では保健師等の専門職が妊娠・出産・子育てに関して、電話や来所、訪問などで常に相談を受け付けています。今後も、あらゆる機会を通じて、支援の必要な母親の把握に努め、切れ目なくサポートをしてまいります。

【小暮こども家庭部長】

はじめに、乳幼児一時預かり事業についてです。

区は、乳幼児一時預かり事業の利用枠を、実施日の拡大や定員増により、平成26年度の約2万4千人から、平成30年度は約3万7千人に拡大してきました。
一方で、平成30年度には、キャンセルなどで利用されなかった枠が5千人分生じているなどの課題があります。そこで、空き情報をリアルタイムで確認し、いつでも予約できるシステムの構築に、現在取り組んでいるところです。今後も更なる利用の拡大に努めてまいります。

また、平成26年度より、乳幼児一時預かり事業をより多くの方にご利用いただくため、子育てスタート応援券の対象事業としました。応援券は子ども一人につき8回まで無料で利用できますが、利用料一人当たりの応援券の利用数は、約5回に留まっているため、応援券の利用促進を図っているところです。利用料の減免は考えていません。

次に、子ども家庭支援センターの運営体制についてです。
子ども家庭支援センターには、区が直営で運営するものと、民間事業者が運営するものがあります。区が直営で運営する子ども家庭支援センターは、児童虐待など、継続的な関わりが必要な方への支援を行っています。一方、民間事業者が運営するセンターでは、「子育てのひろば」などの子育て支援事業を行っています。
発達に不安を抱えている親子対象の「のびのびひろば」は、民間事業者の発案により開始したものです。引き続き、民間のノウハウを活かしたきめ細かい子育て支援事業を実施していきます。

直営の子ども家庭支援センターでは、増加する児童相談に対応するため、平成27年度の36人から、今年度は53人に増員しています。
特に、福祉や心理の専門職員の充実を図っています。併せて、弁護士や児童相談所OBなどをスーパーバイザーとして招き、支援体制を強化しています。

虐待のおそれのある家庭に対しては、これまでも区は、「要保護児童対策地域協議会」において、地域の子ども家庭支援センターや保健相談所、保育園、学校、民生・児童委員などの関係機関が、直営、民営を問わず、情報共有を図って、連携して対応しています。直営施設でないと連携が進まないかのようなご指摘は当たりません。

次に、子どもの人権等についてです。
区では、児童憲章などの理念を踏まえ、子どもの人権を尊重し、子どもの健やかな成長を保障することを基本として、現行の「練馬区子ども・子育て支援事業計画」を策定しています。本計画の事業を着実に実施することを通して、子どもの権利擁護を図っています。区条例を制定する考えはありません。

さらに、このたび策定した第二期計画(素案)では、「子どもの貧困対策計画」としても位置付けています。誰もが未来に希望を持って生活できるよう、生活困窮世帯やひとり親家庭等の自立に向けた支援を充実し、世代を超えた貧困の連鎖を断つ取組を実施してまいります。

児童虐待の予防には、子育てに関する相談体制を強化し、妊娠期から子育て期まで切れ目のないサポートを充実することが重要です。引き続き子どもと子育て家庭の支援を強化してまいります。


次に、教員の長時間労働についてお聞きします。教員の長時間労働については、依然深刻で過労による休職や痛ましい過労死が後を絶ちません。こうした中、教員志望の学生が減るなどこの問題の是正は、まさに日本の教育の現在と未来のかかった国民的課題です。

いま、国会で審議されている「1年単位の変形労働時間制」は、こうした課題に応えるものになっているのでしょうか。「1年単位の変形労働時間制」とは、「繁忙期」に1日10時間労働まで可能とし、「閑散期」と合わせて平均で1日当たり8時間に収めるという制度です。しかし、人間の心身と生理は、「繁忙期」の疲労を「閑散期」で回復できるようにはなっていません。同時に1日8時間労働の原則をも破ることにもなり、労働時間法制の改悪と言わざるをえません。

学校は子どもの状況など臨時的な対応が絶えず求められる職場です。しかし、この制度では、最低でも向こう30日間の労働時間を、その初日の1カ月も前から決め、途中変更が許されないばかりか、勤務時間を超えて働いた分を別の日に減らす勤務時間の割り振りを変更することも認められなくなります。また、この制度が民間事業者に導入された際、労働時間短縮の観点から、その前提として「恒常的な残業がないこと」を導入の基準に上げていますが、恒常的に法外な残業がある公立学校においてはその前提すらないと考えます。

政府は、この制度を導入する理由として、「教員の夏休みのため」だとしています。しかし、本当にまとまった休みが取れるようになるのでしょうか。今の学校は子どもの夏休み中も連日のように業務があり、年次有給休暇の消化すらできないのが現状です。「今のまま休日を設定しても、実際には休めない」と多くの教員が指摘しています。また、仮に夏の業務が減って休みが取れても、今度は各自の代休や年休等を使う機会がなくなるという問題に直面します。休みを取るという点でも「1年単位の変形労働時間制」は全く道理がありません。

以上述べたように、この制度は百害あって一利なしの制度であり、導入理由も成り立ちません。日本教育新聞の調査によれば、公立小中学校を擁する市区町村教育長の42.2%は制度導入に反対し、13.6%が賛成という結果です。民間職場では、この制度を導入した職場の方が長時間労働の傾向となっています。制度導入すれば、更なる長時間労働につながる恐れすらあるのです。区はこれまで、教員の長時間勤務については「いずれも法律や制度上の課題であり、国が主体的に解決すべき課題だ」として、「区としてできる対策をしてきた」と答弁をしています。そうであれば、この制度導入にあたっては、条例改定をしない決断をすべきだと東京都に強く要請すべきです。また、こうした制度に対する区の認識の2点お答えください。

教員が夏にまとまった休みを取ることは、私たちも大賛成です。教員のリフレッシュは、教員の健康と生活にも、子どもの教育の充実にも積極的な意義があります。そのために、1つは行政研修や部活動、各種大会など夏の業務を大幅削減し、基本的に教員の義務的な業務が入らない学校閉庁日等の休暇を取得しやすい期間を設けること。いま1つは、休日出勤や超過勤務に対する代休確保を厳格に行うことです。これらは国も認めていることで、現行制度の運用でも可能です。この提案についての区の認識と実現する上での課題をお示しください。答弁願います。

また、文科省は、「学校における働き方改革」として、来年度予算の概算要求で教職員定数を3920人増やし、85億円の要求をしていますが、その内の2090人は教職員配置の見直しに過ぎず、差し引きゼロです。その他にも小学校での英語教科化に伴う専科指導教員の確保に1000人などを求めていますが、1000人では県・政令市に割り当てられると10数人にしかならず、全く足りません。また、「通級指導」や外国人児童への対応など合わせても全体で4235人の定員改善を求めていますが、少子化による自然減を2249人と見込み、教員配置の見直しによる減員は2000人あるため、差し引きでは結局14人の減です。これでどうして「働き方改革」と言えるのでしょうか。

国は、こうした口先だけの改革ではなく、本気で教職員の長時間労働の打開に向き合うべきです。根本的には、教職員を大幅増員するしかありません。そのことを国に強く求め、改善させるために区としても手立てを尽くすべきです。同時に、「1年単位の変形労働時間制」の導入に反対すべきです。2点について区の答弁を求めます。

【木村教育振興部長】

私から、教員の長時間勤務についてお答えします。

はじめに、「一年単位の変形労働時間制」についてです。
公立学校などの教職員の勤務時間のあり方については、これまでの人事・給与制度等の歴史的な経緯を踏まえ、総合的な観点から、国が見直しを図っているものです。区としては、その動向を見定める必要があるものと考えており、「一年単位の変形労働時間制」だけを取り上げて、国に導入反対を求めることや、東京都に条例改正をしないよう要請する考えはありません。

次に、長期休業中の休暇取得の促進についてです。
教員研修については現在、教員の負担軽減に配慮し、実施回数や内容の見直しを進めています。研修の数は減らしても、教員の指導力は維持向上させなければなりません。研修内容の精選や実施方法の工夫を通じて、課題の解決を図ってまいります。

部活動については、今年度検討組織を設け、教員の負担軽減策等についても検討しています。
また、今年度より、長期休業期間に学校休務日を設定できるよう、休日等に施設を管理する学校施設管理員の配置日数を拡大しました。ほぼ全校で休務日を複数設け、教員のまとまった休暇の取得につながっています。学校休務日のさらなる拡大に向けて、今後検討してまいります。

なお、休日出勤や超過勤務については、東京都が定める条例に則り、現在も適正に対応しているものと考えています。
教員定数については、制度上、区が独自に改善を図ることは困難ですが、引き続き、国や東京都に必要な教員の配置とともに、加配制度の充実を働きかけてまいります。

教員の長時間労働の是正は、一つの取組で全てが解決できるものではありません。実効性のある取組とともに、教員の意識改革を働きかけるなど様々な方策を組み合わせることで実現が図られるものと考えています。教育委員会といたしましては、本年3月に策定した「練馬区立学校園における働き方改革推進プラン」に基づき、取組を着実に進めてまいります。


次に、住宅政策についてうかがいます。いま格差と貧困がひろがるなか、安心して住み続けられる住宅を確保できない人たちが増加しています。平均5万5000円しかない国民年金では、家賃だけでなくなってしまいます。高齢者が建て替えなどで立ち退きを迫られた場合、なかなか行き場が決まらないといった問題も生じています。年収200万円未満の若者は、親との同居が77%に達しています。

東京都の調査では、ネットカフェ等を利用し住居をもたない人が1日3000人いると推定され、うち30代までで50%を占めています。また母子世帯は平均所得243万円しかなく、家賃が重くのしかかっています。すべての世代で住まいの貧困が拡大しています。

国は2006年に住生活基本法を制定したものの、そこには国民の権利規定がまったくなく、「住宅建設計画法」が廃止されたため、公営住宅の建設を大きく後退させ、市場任せにしてきました。住まいは人権です。憲法25条が保障する生存権、世界人権宣言、日本政府も批准している国際人権規約も認めています。

しかし、住宅に関わる国や自治体の支援対象は、住宅確保が困難な世帯だけに限られ、そうしたもとでつくられたのが「住宅セーフティネット」制度です。この制度は、低所得者、高齢者、障がい者、子育て家庭等「住宅確保要配慮者」の入居を拒まない住宅として、民間の賃貸住宅を貸主に登録してもらい、様々な補助を国や自治体が行い、賃貸住宅の供給を促進するというものです。登録住宅に加えて、住宅確保要配慮者の専用住宅なら貸主を対象に家賃補助があります。

しかし、登録住宅は2020年度末までに17万5000戸の計画が、現時点で1万5490件にすぎず、うち住宅確保要配慮者の専用住宅は2410件で1割台です。練馬区での登録住宅は27件、専用住宅はたったの2件しかない状況です。これではセーフティネットになっていません。区は、都の居住支援協議会に参加し、区としても協議会を立ち上げ不動産や福祉の関係団体と意見交換を行なっていますが、何が課題になっていて、なぜ制度が広がらないのでしょうか。区の見解をお答えください。

問題の1点は家賃補助です。専用住宅でなければ家賃の補助対象とされないこと、補助対象が家主であることです。登録住宅では入居こそ拒みませんが、家賃補助はありません。区内では使えないも同然です。なにより低廉な家賃であることが、居住の安定をはかるカギです。補助対象が貸主であると、実際は安くなる保証もありません。要配慮者に対し直接補助を行ない、対象者を広げるべきです。

第2点は、低所得者の要件が全国一律で月収15万8000円以下とされていることです。これは都営住宅よりも厳しい基準で、本当に苦しんでいる方が救われません。少なくとも都営住宅並みに収入要件を引き上げることが必要だと考えます。以上2点について区の見解をお聞かせください。
区は、関係者への制度周知と理解を深め、登録住宅・専用住宅を増やすなどの施策を推進させること、そのために供給促進計画を定め、目標を持って取り組むよう求めるべきです。お答えください。

国交省は「住宅確保要配慮者への賃貸住宅の供給促進に関する基本方針」で、「必要となる公営住宅の整備やストックの改善を計画的に進めることが必要である」と明記しました。
公営住宅を求める人が増加している一方、都営住宅の新規建設が20年間行われず、そのため倍率があがり狭き門となっています。都営住宅の新規建設を都に強く求めるべきではないでしょうか。お答えください。

同時に、区としても対策を取るべきです。近年、老朽化したアパート等の建て替えが進み、それにともない家賃が跳ね上がるため、「この先収入の少ない人の行き場がなくなってしまうのではないか」と区内の不動産業者から聞きました。そうしたもと、他区では独自の家賃助成が始まっています。新宿では、学生や単身者に月1万円、子育てファミリーに月3万円の助成を行なっています。また目黒でも、高齢者、障がい者、ファミリー世帯に助成制度があるほか、千代田、文京でも家賃助成があります。他自治体の取り組みを参考に、区としても独自の家賃助成制度をつくり、住宅政策を充実させるよう求めます。お答えください。

以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【宮下技監】

私から、住宅施策についてお答えします。
住宅は、既に需要に見合う量が供給され、空き家の発生が社会問題となっています。一方では、自らの努力によっても、住宅を確保するのが難しい方々もいます。住まいは、生活の基盤として個人の責任で確保するのが、原則です。空き家を始めとした、既存のストックを有効活用し、住宅確保要配慮者が円滑に入居できる、住宅を増やしていく取組みを進めることが、必要であると考えています。

国の「住宅セーフティネット制度」の登録住宅も、同様の考えに基づくものと認識しています。登録が進まない背景としては、家主が一人住まいの高齢者が亡くなった際の対応や、風評被害による資産価値の低下、低所得者の家賃滞納等への懸念を持っている一方で、登録することの、メリットが少ないことなどが、挙げられます。

区では、本年6月から、高齢者、障害者、ひとり親家庭を対象に、住まい確保支援事業を開始しました。本事業は、高齢者は容態急変時に対応する、「緊急通報システム」を利用することを要件とし、家主の不安を和らげることを特徴としています。本年6月から11月までで、申し込み件数が167件、紹介部屋数が139件となりました。区民や、不動産団体、福祉事業者への本事業の周知も進んできており、引き続き、関係団体と連携し、制度の活用を促進していきます。

次に、登録住宅の家賃補助についてです。
区では、住宅確保要配慮者専用住宅を対象として、家主に対する家賃補助制度を、本年6月から始めました。家賃補助は、低所得の方が入居可能な低廉な家賃の住宅供給を促進することを、目的としています。住宅確保要配慮者が優先して入居できる、住宅を増やしていくためにも、専用住宅の家主に補助するのが、効果的です。補助金の支出に際しては、家賃が、近傍同種の住宅と同水準の額であることが条件です。補助相当分が、その家賃から減じられていることを、区が確認する仕組みを、設けています。従って、補助を受けた住宅の入居者は、必ず低廉な家賃となります。入居対象者の所得基準については、都営住宅の一般区分の基準と、同額であることから、適切であると考えています。

また、区独自に、公営住宅への入居を希望する高齢者に対して、民間賃貸住宅に入居している一定期間、家主に対する補助も実施しています。
区では、この様な、住宅確保要配慮者が入居可能な、住宅を増やす取り組みを行っているため、入居者個人への補助制度や、登録住宅の供給促進計画を、つくる考えはありません。

都営住宅については、都では、老朽化が進んだ施設の建て替えを進め、既存ストックの有効活用に取り組んでいることから、新規建設を求める考えはありません。