2016年第三回定例会一般質問/2016年9月8日/有馬豊

【有馬豊議員】
 私は、日本共産党練馬区議団を代表して一般質問を行います。
 初めに、区長の基本姿勢として、国の核兵器に係わる一連の問題についての認識から伺います。

 8月15日付の米紙ワシントン・ポストは、オバマ米大統領が検討している核兵器の先制不使用宣言について、安倍首相が「抑止力を弱める」として反対する意向を伝えていたと報じました。

 オバマ大統領は、来年1月の任期終了までに核軍縮に向け、核兵器の先制不使用宣言、核実験を禁止する国連安保理決議の採択、核兵器予算の削減など一連の政策転換を図るため議論しているということです。
こうした中、安倍首相は「とりわけ日本は、もしオバマ氏が先制不使用を宣言すると、北朝鮮のような国々への抑止力を弱めることになり、紛争の危険が高まると考えている」とハリス米太平洋軍司令官に伝えたと複数の米政府高官の話として報じられています。

 安倍首相は報道の内容について否定していますが、時事通信でも日本政府関係者が核兵器の先制不使用宣言に反対の立場を米政権に伝えたとされ、政府高官が「抑止力にならない。核の傘に穴が開き、日米同盟の否定になる」と安倍首相と同様の立場を示しているのです。区は、こうした国の姿勢をどのように考えますか。お答えください。

 この間、核兵器の廃絶については、国連総会で20年にわたって、法的措置を伴う核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議を、加盟国の7割以上の賛成で採択されてきました。しかし、核保有国の反対などで、条約の交渉議論も始まっていない有様です。
 こうした中、国連総会が核軍縮交渉の停滞を打破することを目指し、核保有国がボイコットする中、今年2月から100カ国以上が参加した作業部会で議論を重ね、核兵器禁止条約などの交渉を来年から始めるよう国連に勧告しました。ところが日本政府は禁止条約に反対し、作業部会を棄権したのに、会議に出てきて「段階的アプローチが現実的だ」と発言しています。この考え方は、核保有国が核戦力を維持するための口実として言われてきたものであり、核兵器廃絶を永遠に先送りするものに他なりません。まさに日本は被爆国でありながら核廃絶に逆行する核保有国の代弁者のような発言をし、他国から厳しい批判を浴び、孤立する姿をさらしたのです。

 非核都市練馬区宣言では「我々は世界最初の被爆国民として、平和憲法の精神に沿って核兵器の全面禁止と軍縮の推進について積極的な役割を果たすべきである」とされていますが、その精神に立って区は国に対して、核兵器の非人道性を訴え、核兵器を禁止・廃絶する条約の交渉開始を求める世界の流れの先頭に立つなど、被爆国の政府にふさわしい行動をとるように強く求めるべきです。
 また、いま被爆者団体が中心となって核廃絶を求める国際署名に取り組んでいますが、区としても賛同すべきです。2点について区の認識をお示しください。合わせて、核兵器の先制不使用宣言に対する区の考え方もお答えください。

【小西総務部長】
 まず、「核の先制不使用宣言」についてです。この問題は、被爆国である我が国が、国際社会の平和を守る立場に立って、世界情勢と国際関係について十分な情報と、周到な分析に基づいて、国が判断すべきものと考えております。
 区といたしましては、国の動向を注視してまいります。
 また、核兵器廃絶に向けた具体的な取組については、非核宣言自治体協議会加盟の自治体の対応を注視してまいります。


【有馬豊議員】
 次に、区政改革についてです。
 この間、この問題については何度か議論してきましたが、区政改革の基本的な考え方がどこにあるのか改めて確認したいと思います。

 安倍政権は「骨太方針」で、社会保障の制度改悪・削減に乗り出し、高齢者医療の窓口負担を75歳以上にも2割負担を導入する、生活保護の母子加算を切り捨てる、要介護1、2の保険給付を外すなどの大改悪を進めようとしています。さらに自治体に対しては、保育園や窓口業務などの民営化、使用料・手数料の値上げ、公共施設再編などを迫り、住民サービスの低下を強要しています。

 現在、東京では多くの自治体がこの国の方針に基づく計画づくりを進めてきています。
 例えば、国立市では「財政運営に関する条例」をつくり、「行政サービスの質的向上」と言いながら、扶助費、使用料・手数料の定期的な見直しをしようとしています。その前提に「限られた財源」という認識があります。墨田区は、施設使用料を見直すとして、施設管理運営費だけではなく、建設費や人件費も加えた原価分すべてを積算根拠として負担を押しつけようとしています。
 しかし、それでは現在の使用料が跳ね上がるため、急激な変化を避けて、9月議会では平均で1・1倍相当の値上げを提案しようとしています。
 区民からは「驚いた。普段利用する施設がほとんど値上げになる」「自転車駐輪場は2倍になるの?」などの疑問の声が多く出されています。こうした都内各自治体の動きと練馬区の区政改革は、全体として同じ流れだと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。

 他の自治体の区政改革が、社会保障の改悪、住民サービスの低下であることが明らかとなり、また実際に具体化されてくると地域住民との矛盾が広がっています。この現実をどうとらえるかが、大事です。

 多摩市では、現在ある7つの図書館を3館にする計画を打ち出しましたが、「なくさないで」という声が広がり、市長との対話集会などが開かれ、陳情が採択される中、市が掲げた廃止計画はいったん中止となり、市は市民や利用者と意見交換、一緒に考える場を改めて設けることになりました。

 足立区では、個人のプライバシーに関わる戸籍業務を民間企業に委託したことが大問題となりました。さらに介護保険、国民健康保険の業務も委託しようとした問題で、「区が責任を放棄していいのか」という住民運動の高まりの中で、「違法な偽装請負につながりかねないような指揮命令や疑義照会等については、予定していた委託を見送る」と一部撤退して区の運営に戻すことになりました。

 これらは受益と負担のバランスを見直すとか、民間委託を進めるということが何をもたらすことになるのかを如実に示しているのではないでしょうか。区はこうした事例に注目し、住民の要求を無視した行政サービスの切り捨てではなく、住民の希望にそった施策が求められていることを認識し、先に計画ありきではなく、区民の切実な願いにまず耳を傾ける立場をとるべきです。区の考えを伺います。

 区が持続可能性を強調し、区民サービスの低下を合理化している根拠は財政危機です。果たして区の予測する財政危機は事実なのかどうか、厳しい検証が必要です。区の資料では特別区財政調整交付金が大きく減少するといっていますが、現在法人税の4・4%が地方法人税として減らされ、2016年度にも税制改正がありますが、その後のことは法律で決まっていないことです。
 基金、起債の変化についても、ここ数年見ても基金はほぼ横ばいで起債は減っているのに、今後10年でなぜ基金が底をつくということになるのか、数字的な根拠を明らかにするべきです。

 また、経常収支比率が23区の平均と比べて高いと言いますが、港区や渋谷区など法人税収が多いところと比べるのはもともと無理があります。これが果たして区民サービス低下の理由になるのでしょうか。このように不確定な要素を使い、都合のよい数字を並べ立て財政危機をあおるのではなく、区民が納得できる明確な資料を提示すべきです。いかがでしょうか。お答えください。

 仮に、財政難があるとしても、区民サービスの低下ではなく、都市インフラ整備の見直しでこそ対応すべきです。自治体の基本的立場は国の悪政を住民のくらしにそのまま持ち込むのか、それとも、くらし・福祉・子育てを守る「防波堤」の役割をはたすのかが鋭く問われています。区の立場をお答えください。

【前川区長】
 区政改革についてであります。
 お話を伺っていますと、国や他の自治体が住民サービスの低下、それ自体を目的として施策を展開しており、練馬区の区政改革もその流れの中で進めようとしているとのことでありましたが、どこをどうしたら、そのようなご認識になるのでしょうか。只々驚いております。

 私は自治体の長として、区民や区議会の皆様とご相談しながら、練馬区が必要とする政策を実行しているつもりです。自治体として自立した政策の展開、また、住民自治の徹底こそが、私の信条であります。

 そもそも、行政の責任とは何か。行政は、いま支援を必要とする方々を支えるだけでなく、将来の世代にも配慮しなければなりません。目先の対応に止まらず、ソフトとハードの両面にわたり、区民サービスの充実と持続可能性を確保することが必要なのです。

 ご質問は、住民自治や将来世代への配慮そのものを否定されるものなのでしょうか。建設的な議論をこそお願いしたいと思います。
 私からは以上であります。その他の質問につきましては、技監および関係部長に答弁いたさせます。

【森田区政革担当部長】
 私から、区政改革についてお答えいたします。
 国の方針に基づき、他の自治体と同じ流れで区政改革を進めようとしているのではないかとのご指摘についてです。
 それぞれの自治体が、地域の実情に即して施策や事業の見直しを進めることは、自治体の当然の責務であります。国の方針に従っているというご指摘は当たらないものと考えます。

 練馬区の区政改革を他の自治体の取組と同列に論じ、社会保障や住民サービスの改悪と決めつけることは、地方自治を否定しかねないものではないかとも考えます。

 区政改革の目的は、市民感覚で行政を見直し、区民サービスを向上させることにあります。
 検討にあたって、まず昨年、区政の重要課題に関するデータ集を公表し、これを元に未来を語る会やパブリックコメントを実施しました。本年5月に公表した区政改革計画素案は、こうした取り組みを経て取りまとめたものです。この素案についても、未来を語る会を開催するとともに、パブリックコメントを実施し、多くのご意見をいただいています。このように、段階ごとに区民の皆様のご意見を丁寧にお聞きしながら、検討を深めてきたところであります。
 今後とも、区民参加と協働を根幹に据え、サービス向上と持続可能性の両立をめざし、区政改革を進めてまいります。私からは以上です。

【佐々木企画部長】
 私から、財政についてお答えをいたします。
 将来を見通した改革を進めるため、区政改革計画素案では、概ね10年先の財政環境の変化を見越しています。少子高齢化の進行に伴う福祉・医療・子育て支援などの社会保障関係経費の増加や、施設の改修・改築経費の増大は不可避であります。税制改正により財政調整交付金が減少することも明白であります。支出と収入の差額が拡大し、基金での補てんにも限界があることを、資料を用いて客観的に示しています。また、経常収支比率については、適正水準や特別区平均値を示しており、法人税収の多い港区、渋谷区との比較は行っておりません。あらためて、よくご確認いただきたいと思います。

 区民サービスには、福祉・医療のように現在の区民の求めに応えるものと、都市インフラの整備のように将来への投資となるものがあります。社会変化を見据え、この2つのバランスをどう構成するか考えなければなりません。前者のみを優先することは、安全な街を残すという次世代への責任を放棄するものであります。財政状況が厳しい中、区民サービスの向上と持続可能性を両立させるために、改革に取り組んでまいります。


【有馬豊議員】
 次に、保育所の待機児解消についてです。
練馬区は、入園申し込みを10月に控え、待機児童ゼロ作戦で来年度待機児を解消するとしていますが、区の施策は子どもたちや保護者の願いに応え、公的責任を果たしていると言えるのでしょうか。

 その第一が、定員拡大の対象年齢です。
 区は、1,000人規模での定員拡大を示しましたが、5才児までの保育を実施する施設はわずか一カ所120人のみで、それ以外は小規模など2才児までの保育所です。

 待機児のほとんどを占める0~2才の定員拡大は早急にすべきではありますが、問題は就学前まで通える保障がないことです。私どもは1才児を対象とした区立や私立の保育所、幼稚園の転用可能な専用室を活用しての預かり保育で2才児以降の受け入れ先について前定例会で質問しました。
 これに対し区は「待機児ゼロ作戦で対応する」と答えていますが、結局、就学前まで保育所に在籍する保障はありません。さらに、申し込み対象は10月の入園が保留となった子どものみ、土曜保育は実施せず、利用料金も4万円と5万円と高く、4月入園児と著しく格差が生じることになり、待機児対策と言えるのかなどの声が寄せられています。

 この事業では一時的に効果はあるものの、最悪は毎年保育園探しをしなければならない人を生み出すとともに、保護者と子どもに多大な負担を強いることになるのではありませんか。答弁を求めます。

 今、子育てしながら働くという当たり前の願いさえかなわず、医師を説得して帝王切開での出産を一ヶ月早めてまで申し込みをしなければならないなど、理不尽な事態がおきているのです。住民が選択できるどころの話ではありません。

 厚労省が2日発表した保育所待機児数によれば、認可保育所を希望しながら入所できない子どもの数は、9万人を超え2年連続増加という深刻な事態となっています。今回は「潜在的待機児童」も公表され、練馬区は923人にものぼることが明らかになりました。

 区として今後、潜在的待機児童も含めた待機児数を公表するとともに、0才~5才児まで安心して通える認可保育所を中心に据えた解消策を検討すべきです。お答え下さい。

 第二は、保育の質の問題です。
 保護者はただ預け先が見つかればいいと、受け皿が増えることだけを望んでいるわけではありません。
 全国では、保育施設で命を落とした子どもたちは、この10年で150人近くにのぼり、このうち7割以上が認可外保育施設でした。
 今年に入ってからも都内の無認可施設でうつぶせに寝かされた一歳の男の子が心肺停止状態になり、搬送先の病院で死亡が確認されました。また、死亡事故には至っていないものの、乳児を一日中ラックにくくりつけたままにする、ミルクは一人飲みをさせる、トラブルになると別室に一人で閉じ込めるなど保育の質に重大な問題が生じている施設が増加しています。

 練馬区でもここ数年、ビルの一室やコンビニ跡、高架下など園庭のない、日も当たらない、子どもにとってより良い環境とはとても言えない施設が増えています。

 この背景には、認可保育所主体であった国の保育政策が、認可外施設など「多様な保育」へと変わり、保育士の配置基準や資格要件を緩和したり、詰め込みで待機児を解消し、さらに保育士の劣悪な処遇を放置してきたことがあります。

 子どもたちの安全と健やかな成長を保障するため、区内全ての小規模や認可外保育所を調査し、問題があった場合は早急に対応することを求めます。また、給食を実施していない小規模保育所は保護者に大きな負担と不利益が生じています。2019年までに実施が義務づけられていますが、それを待たず一日も早く実施するよう支援すべきです。答弁を求めます。

 また、練馬の保育を支えてきた保育室や家庭的保育事業者への援助も大事です。
 区内の家庭的保育事業者の中には、この4月から数ヶ月間、子どもが決まらず無給だったところがあると聞きました。これは新制度の仕組みからくる矛盾でもあり、区として丁寧な対応が必要だったのではありませんか。

 区長は、私どもが認可保育所のみを保育所とし、保育室や家庭福祉員を認めていないかのように言いますが、これは全くの曲解です。私どもは、就学前まで保育を実施する認可保育所を軸として待機児を解消すべきという立場であり、長い歴史をもち認可保育所を補完する役割を担ってきた保育室や家庭福祉員への支援は当然重視すべきと考えています。

 待機児対策を言うのであれば、上記のような問題が起きないよう丁寧で適切な対応をすべきです。答弁を求めます。

【堀こども家庭部長】
 私から、保育所待機児童対策についてお答えします。
 本年の待機児童数が166人となったことを踏まえ、現在、1,000人の定員枠を拡大する「待機児童ゼロ作戦」に全力で取り組んでいます。待機児童の7割以上が1歳児であることから、0歳から2歳に重点を置いた施設整備とともに、新たに、既存施設の定員枠の拡大や1歳児1年保育の実施により、1歳児の受け入れ枠を500人分増やすこととしています。

 さらに、1歳児1年保育の利用者には、次年度以降の保育施設確保の相談に丁寧に対応していきます。また、「練馬こども園」が加わることにより、3歳児以上の待機児童はほぼ解消しています。こうした取り組みを推進し、待機児童解消を図るとともに、保護者の多様な保育ニーズに応え、保護者が選択できる環境を整備していきます。

 なお、「潜在的待機児童」については、区として公表は考えていません。そもそも待機児童の捉え方は、大都市特有の多様な保育ニーズに応える認可保育所以外の保育施設を国が認めてこなかったことこそが問題であり、昨年度からの国の新基準はようやく実態に追い付いてきたことを示すものと考えます。

 次に区内の小規模保育施設や認可外保育所についてです。区では、小規模保育施設および認証保育所を年に複数回訪問し、保育内容や、安全衛生に関する助言・指導を行い、保育の充実を図っています。

 小規模保育施設における給食の提供については、子ども子育て支援新制度において平成31年度末までに、自園での調理体制を整えることとされています。給食施設を施設内に設けるとともに、衛生管理などの準備を整える必要があります。これらの条件を整備し、早期に給食を開始できるよう、保育事業者と協議をしていきます。

 次に、家庭的保育事業についてです。受託児が決まらない事業者に対しては、欠員が生じた期間について、補助金を支給するなど支援を行っています。なお、子ども子育て支援新制度が開始された昨年度、また本年度も、6月にはすべての家庭的保育事業者で受託児が決定しています。
 今後とも、保育行政を進めるに際して生じる様々な課題に適時適切に対応しながら、「待機児童ゼロ作戦」を協力に推進していきます。


【有馬豊議員】
 次に、出張所の機能転換について伺います。
 これまで区は出張所をコミュニティ支援の機能を中心とした新出張所へ転換すると言いながら、わずか一か所でモデル事業を実施したのみで、十分な検証もなく高齢者の見守り拠点へと変更してきました。にも関わらず、5月に発表した「区政改革計画(素案)」では、出張所を廃止して区民の自主的な地域活動の拠点等として活用していくとして、出張所の廃止ありきで、その後の活用についての具体案もなしに説明会を開催してきました。

 本来、出張所は区民へ基本的な行政サービスを提供する身近な窓口としての役割と共に地域コミュニティの中心としての機能を担ってきました。廃止の理由として区が示した必要性の低下は、この間の区による職員数の削減先にありきで進められてきたことによって生じたものに他なりません。

 区は2008年に届出事務を17か所から4か所の区民事務所へ集約しました。これにより届出事務が出張所でできなくなり、より遠くの区民事務所に足を運ばなければならなくなりました。そのため、区民事務所の待ち時間が増加し、結局2014年には区民事務所を2か所増設することになりました。その際、区は出張所での証明書交付事務を取りやめてしまったために、出張所での取扱い件数はさらに減少し、今度はそれを理由に出張所の廃止を行なおうとしています。

 区は出張所での取扱い事務の変更にあたり、自動交付機のサービス拡充や郵便局での証明書交付などによって、サービス後退は招いていないとしてきました。しかし、私どものところには、「90歳になる私に本庁まで行けというのか」など身近な窓口が無くなることへの怒りの声が寄せられています。郵便局での証明書交付委託は、委任状や第三者による交付申請、生活保護受給者に対する手数料の減免などに対応していないため、心身に障害を持ち第三者に委任せざるえない方や生活保護受給者など社会的に弱い立場の人ほど遠くの区民事務所へ行かざる得ない状況をつくり出し、区民事務所への一層の集中につながりました。これは、2013年度は約34%を占めていた区民事務所での証明書発行が2年後には約52%と1.5倍化したことからも明らかです。

 結局、区民の声に耳を傾けず、「職員の削減」先にありきで場当たり的に進めてきた結果、コミュニティ支援を中心とする出張所への転換を迷走させ、地域での区民サービスの低下を招いたのではありませんか。今後、高齢化の進展に合わせて、身近な行政窓口やコミュニティの拠点の必要性はさらに増すばかりです。来年3月を予定している出張所の廃止はいったん立ち止まり、区民と共に高齢化社会にふさわしい出張所のあり方から再検討すべきです。答弁を求めます。

 関連して、自動交付機について区は、コンビニ交付の開始を理由に2017年6月末で廃止するとしています。しかし、コンビニ交付の利用はマイナンバーカードの発行が必要となりますが、6月末時点でのマイナンバーカード申請数は自動交付機カードや印鑑登録証の発行件数のわずか25%にすぎない70,900件にとどまっています。このような状況で発行件数の約4割を占めている自動交付機を廃止すれば、区民事務所や郵便局へのさらなる集中を招き、待ち時間の増大につながりかねず、さらなるサービス低下を招くことは目に見えています。自動交付機の廃止は延期すべきです。答弁を求めます。

【唐澤区民部長】
 私から、出張所の機能転換についてお答えいたします。
 出張所窓口で行っていた住民票・印鑑証明等の発行や税等の収納は、郵便局での証明書発行やコンビニ交付・コンビニ収納を実施するなど代替方法を導入し、より利便性を高めてまいりました。
 この結果、平成26年7月の出張所見直しの前後一年間で比較したとき、11出張所全体で住民票の写しや印鑑証明書の発行など約24万4千件あった取り扱い件数が、取次ぎ業務等約3万3千件に激減いたしました。
 出張所を廃止する理由は、出張所の事務取扱件数の低下という厳然たる事実によるものであり、職員数の削減先にありきというご指摘は当たりません。

 また、手続きを第三者に委任される方については、ご本人が遠くに行く必要はなく、生活保護受給者についても、管轄の総合福祉事務所と近接した区民事務所で対応しており、ご懸念のような事態は生じません。
 出張所は平成28年度末に廃止し、跡施設は区民の自主的な地域活動の拠点とすることを基本に、地域の皆さまの意見を伺いながら、施設の規模や地域の状況に応じて、高齢者相談センター支所の移転や図書館資料受取窓口の開設、街かどケアカフェとしての利用などの活用を進めてまいります。

 次に、自動交付機が利用できるカードを所持している区民約26万人に、8月に個別に案内を送付し、マイナンバーカード取得の勧奨を実施しました。マイナンバーカードの申請件数は、8月末には7万7千394件となり、順調に推移しております。また、カードの交付は5万1千792枚と、都内では一番多い枚数となっております。

 今後も、さらなる個別勧奨や機会をとらえての積極的な周知活動などを行い、マイナンバーカードの申請を推奨してまいります。
 なお、自動交付機が利用できるカードを所持している約26万人のうち、昨年度一年間に自動交付機を利用して住民票や印鑑証明を取得した方は、約11万8千人であり、すべての方が使っているというわけではありません。コンビニ交付ができるマイナンバーカードに切り替えていただくよう、これからもきめ細やかに勧奨してまいります。私からは以上であります。


【有馬豊議員】 
 次に震災対策についてです。
 4月に発生した熊本地震は観測史上初めて、一連の地震で震度7の揺れが2回観測され、今に至るまで多数の余震が発生しているといった特徴があります。これまでに、震災関連死の疑いがある方を含め死者88人、住宅被害は約17万棟という甚大な被害をもたらしました。熊本地震の経験をふまえて練馬区でも震災対策を考えていく必要があるのではないでしょうか。

 第一に、避難拠点についてです。
 熊本地震では、相次ぐ余震により想定していた避難者の2倍となる約11万人が避難所へ避難したため、備蓄物資の不足を招くとともに、収容人数やプライバシー確保の問題から車中泊での避難が多数発生し、震災関連死につながりました。

 練馬区では、全区立小中学校を避難拠点として位置付け、整備してきましたが、これまで光が丘地区では適正配置のために避難拠点の減少を招き、区政改革計画素案では、過少規模校を中心に適正配置の方針が示され、さらに避難拠点が減らされようとしています。
 避難拠点は単に避難場所としてだけではなく地域の自立した防災の活動拠点としての役割を担っています。過少規模校と指摘されている小中学校には、区内10か所のみの医療救護所に指定されている学校や地域住民との合意もないまま適正配置の対象とされている学校もあります。

 区は人口が増加していくにもかかわらず、適正配置によって避難拠点が減少した場合、どのような影響が生じるとお考えでしょうか。また、避難拠点が地域防災に果たす役割をどのように認識しているか。2点お答えください。

【小暮危機管理室長】
 私から、避難拠点についてお答えいたします。
 避難拠点は、区立小中学校の適正配置にかかわらず、その機能を地域に確保することは、当然のことであります。過去に適正配置が行われた光が丘地域において、避難拠点運営連絡会の統合や、区要員の増、統廃合後の施設の活用などを行い、拠点としての機能を維持しており、地域の避難者に適切に対応できると考えています。
 また、既に都立高校や区立施設を状況に応じて臨時の避難所として活用することとしています。
 医療救護所は、必要に応じて設置する小中学校を変更しております。医療救護所が減少するかのようなご指摘はあたりません。
 また、避難拠点は、共助・公助の拠点となります。拠点の運営は区が行い、地域住民で組織される避難拠点運営連絡会との連携のもと、避難者の受入だけでなく、要援護者の安否確認などを行います。
 また在宅避難者も対象として、情報収集や情報提供、食料・飲料水などの提供を行い、地域全体で被災者の生活を支えてまいります。


【有馬豊議員】
 第二に、住宅の耐震化についてです。
 区の地域防災計画では、発災時に火災や倒壊の危険がなければ自宅にとどまる「在宅避難」を基本としています。しかし、日本建築学会や国交省による調査によると、阪神淡路大震災を踏まえて2000年に行われた建築基準法に基づいた木造住宅においても全壊や倒壊が発生していることや益城町で倒壊した住宅の約9割が前震ではなく本震で倒壊していたことが明らかになりました。住宅の耐震性も把握せずに在宅避難をすれば、いたずらに被害が広がりかねません。こうした点をふまえれば、少なくとも耐震診断助成の対象を新耐震基準へ拡大すべきです。お答えください。

 住宅の耐震化は震災時のあらゆる対策の前提となります。区内の住宅の耐震化率は2015年末で84.7%ですが、耐震改修促進計画では2020年までに95%を目標としています。達成には遅れている木造系住宅の耐震化の更なる推進が求められます。区はその課題として既存不適格の適法化の要否とともに、工事資金の確保を指摘しています。
 練馬区の耐震改修助成は、戸建ての場合、助成割合は工事費の3分の2まで、上限は100万円、所得が一定以下である場合は120万円の助成となっていますが、2014年度の利用実績はわずか31件で、今決算でも関連経費が10億円余の予算を組みながら、6億8500万円のマイナス補正したうえ930万円の不用額を出しています。少なくとも組んだ予算を有効に使いきるためにも制度を拡充すべきです。
 中央区では、戸建ての耐震助成について助成割合は工事費の2分の1ですが、助成額は最高で300万円、簡易工事でも150万円となっています。台東区では2016年度から、一回当たりの工事費負担を軽減するため2段階に分けて耐震改修を行った場合でも助成の対象としています。また、耐震性に問題のある建物を建て替える場合にも助成を行う区もあります。こうした例に倣い、耐震助成制度の抜本的な拡充を行うべきです。ご答弁ください。

 以上で日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

【宮下技監】
 初めに、新耐震建築物についてです。
 熊本地震では、連続して震度7の地震が発生したことから、新耐震基準による建築物でも、倒壊した事例がありました。国土交通省では、現在、倒壊した建築物の構造的な特徴などの分析を行い、建築基準のあり方を含め耐震性の確保・向上方策について検討を進めているところです。現時点では、新耐震建築物への助成は考えておりません。
 次に、耐震助成制度の拡充についてです。
 木造戸建て住宅の耐震助成については、平均的な改修に要する経費、補助率、上限額を勘案すると、練馬区の助成は他区に比べ、遜色のない水準です。さらに、練馬区では、地震への簡便な備えとして、低額で設置可能な耐震シェルターや防災ベッドなどへの助成を行い、支援を充実させています。
 耐震化を進めるために重要なのは、建物所有者の意識を高めていくことです。引き続き、無料簡易診断や耐震相談会の開催などの啓発活動に力を注ぎ、現行の助成制度を基本に、一層の耐震化の促進に努めてまいります。