2016年度 第3回定例会 一般質問(答弁つき)/2016年9月9日/坂尻まさゆき

【坂尻まさゆき議員】
  日本共産党練馬区議団を代表して一般質問をおこないます。
まず区長の基本姿勢として暮らしと経済の問題について伺います。
暮らしと経済の問題は、区政改革では詳しく触れませんでしたが、区民との関係で避けて通ることができない問題であり、改めて取り上げたいと思います。

 国の経済状況をみると最近発表された6月の総務省の家計調査では、消費支出が前年同月に比べ、2.7%の減少。消費税が増税された2014年から落ち込みが続いており、最近では2月以降4か月連続の落ち込みです。

 雇用も改善されたと言いますが、非正規雇用が中心で、正社員の有効求人倍率は0.88と1に届きません。5月の毎月勤労統計調査を見ても実質賃金は2010年を100とした場合81.0、昨年1年の平均でも94.6にしかならず、5年連続減少です。

 こうした中で少子化対策白書でも非正規雇用の増加、低所得化、将来不安が未婚や晩婚化を招き少子化の要因になっていると指摘されています。

 区内産業はどうか。商店数は区の統計によれば1982年をピークに2007年までで半分程度にまで落ち込んでいます。2012年時点での区内の事業所数は2006年との比較で1305も減り、従業員数は3280人も減少しています。

 区民生活も、就学援助は保護基準の引下げで対象者が縮小したものの、全体に占める割合は2割以上、中学生は3割近くに達しています。生活保護受給者も13,029世帯で過去最高、国保滞納世帯も依然多い状況です。区はこうした深刻な実態をどう認識していますか。

 これらは自然現象ではありません。国の悪政が国民生活や中小企業の営業を壊し続けてきた結果です。今こそ国民の所得を増やし、社会保障を充実させ、暮らしを応援して消費を拡大する道に踏み出すべきです。

 ところが今回、安倍政権が打ち出した経済対策はどうでしょうか。その規模は28兆円という大掛りなものですが、中身はリニア新幹線へ公的資金の投入や大型公共事業など、失敗済みの対策が中心で、さらなる国債の発行など国民はリスクだけを被ることになりかねません。しかも目玉にした介護職員や保育士の処遇改善や給付型奨学金の創設などは検討自体が来年度以降に持ち越されてしまい、まさに見掛け倒しの中身となっています。

 さらに社会保障については、安倍首相自身が「伸びを抑えていくことはたいへん大切」と述べ、削減策が次々打ち出されています。

 これでは区民の暮らしや経済を良くすることにならないばかりか巨額の負担と社会保障削減で景気を悪くするではありませんか。区として、区民生活を守るため安倍政権のこうした施策に対して、反対の声をあげるべきではありませんか。答弁を求めます。

 区は、依命通達の中で、個人消費や設備投資といった民需に力強さを欠いた状況が垣間見られるとしています。ならば区が先頭を切って、区民や中小企業を応援する思い切った施策に踏み出すことが必要です。例えば公契約条例や店舗改修助成のように賃金の下支えや新たな仕事を作り出すなど、波及効果が高く区民の所得を底上げでき、消費を増やしていく対策に積極的に取り組むべきです。答弁を求めます。

【臼井産業経済部長】
 直近の月例経済報告では、「景気は、このところ弱さも見られるが、穏やかな回復基調が続いている。」とされています。7月の毎月勤労統計調査の速報によれば、実質賃金指数が前年同月比2%増となり、6ヶ月連続で前年同月を上回るとともに、現金給与総額が上昇傾向を示すなど所得環境に改善がみられます。また、区内中小企業の景況も、リーマンショック以前の水準に回復しており、全体として緩やかな景気回復に向かうものと考えております。

 国は先月、子育て・介護の環境整備、女性活躍の推進、社会全体の所得と消費の底上げなど「一億総活躍社会の実現の加速」、「21世紀型のインフラの整備」、「熊本地震からの復旧」など未来への投資を実現する経済対策として補正予算を閣議決定しました。国の経済施策は、積極的に展開されているものと考えております。

 区も独自に、待機児童ゼロ作戦を始めとする子育て施策の充実、施設の維持補修や老朽備品の更新による区内中小企業者支援などを柱とする補正予算を今定例会にご提出できるよう準備を進めているところです。

 なお、公契約条例については、これまでも繰り返しお答えしているように、民間事業者の従業員の賃金等の労働条件の基本は、法律で定めるべきものであり、区として、公契約条例を制定する考えはありません。

 また、店舗改修助成については、今年度からお客が集まる個店づくり事業として取り組んでおります。これは、熱意ある個店が自ら魅力を高め、商店街の活性化につながることを目的として行うものであります。すべての店舗改修について助成する考えはありません。


【坂尻まさゆき議員】
 次に、介護保険改悪の影響と対策について伺います。
 安倍内閣は、参議院選挙で「介護離職ゼロ」を掲げながら、選挙が終わると介護保険の大改悪に乗り出そうとしています。しかし、この間の制度改悪で現場からは「年寄りは早く死ねということか」など悲鳴と怒りが噴出しています。

 介護保険制度は2000年にスタートして以来、制度の改悪が続き「国家的詐欺」とまで言われるひどい状況です。
 2015年の改悪では、要支援1,2の訪問・通所介護を保険給付から外し、自治体の事業に流し込むなど一連の改悪が行われました。

 こうした中で、施設の食費・部屋代の補助が制限されたため、7万3千円の負担増になり、年金では払いきれず施設退所に追い込まれる人などが生まれる一方、介護保険料が払えない人に容赦のない取り立てが強まっています。月6千円を超す保険料が払えず、サービス利用料を償還払いされ、利用料が10倍になるなど、サービス利用を諦める、中断せざるをえなくなる深刻な事態が全国で広がっています。

 練馬区でも、介護給付から外れた要支援1,2の人は約3,400人、特養ホーム待機者は、これまで2,800人くらいだったものが2016年5月には1,979人と大幅に減り、保険料は制度開始時と比べて現在は69,900円と倍近くに跳ね上がり、未収額は4億6千万円で過去最高になっています。全国と同様の事態が起きているのではないでしょうか。

 ところが練馬区は、私どもの質問に対して介護報酬引き下げについては、単に減額だけを行ったものではないと容認し、今年度実施の高齢者基礎調査を受けて、対策を検討などと実態を無視して対策を先送りしようとしています。これでは区民は救われません。

 区はこうした制度改悪に対して国にしっかりと意見するとともに、制度の枠内でもサービス後退がないよう手を尽くすべきです。

 とりわけ総合事業の実施にあたっては、要介護認定が受けられることを窓口ですべての利用者に伝え、認定の権利を保障し、多様なサービスの提供や介護サービスの移行にあたっては、強制することなく本人や家族の意向を尊重すること。区独自の訪問サービス従事者は、責任ある対応ができる水準の研修を行うとともにサービスの受け皿が地域で確保できるようにすること。介護職員やヘルパーなどの処遇改善を進め、人手不足解消に取り組むなど知恵を尽くして,必要な介護が受けられない事態を招かないことが大事です。
 上記の提案についての区の考えをお聞きします。お答えください。

 今、国は昨年の改悪の検証もしないまま、一層の給付抑制、負担増を検討しています。こうした中で、福祉用具をレンタルしている当事者からは、「用具を使って行動できるからこそ、自立した暮らしができるのに、生活を壊さないでほしい」「年金暮らしで福祉用具の全額負担はあまりに厳しい」などの悲鳴が上がっています。

 生活援助にしても単なる家事手伝いではなく、ヘルパーと利用者の共同を通じた自立支援であり、保険給付から外されると、利用者の状況変化に合わせた専門的なケアができなくなり、重度化が進行し自立支援に逆行することになるうえ、医療費も介護にかかる費用も逆に増えてしまうことになりかねません。こうした影響について区はどのように認識しているのでしょうか、お答えください。

 憲法25条は、すべての国民は健康で文化的な生活を営む権利を保障していますが、介護保険改悪のもとで、この権利が脅かされる状況が生まれているのです。早急に実態を調べ、できる限りの対策を区として打つべきです。同時に、現場の状況を伝え、国に制度改悪をやめるよう強く迫るべきです。答弁を求めます。

【中田高齢施策担当部長】
 私から、介護保険についてお答えします。
 はじめに、平成26年の介護保険法改正についてです。
 先般の法改正は、持続可能な社会保障制度を確立するため、地域包括ケアシステムの構築と費用負担の公平化を図ったものであります。具体的には、介護予防・日常生活支援総合事業が創設され、自治体が要支援者の訪問や通所サービスの提供を工夫できる仕組みとなりました。総合事業は、地域支援事業として実施しており、介護保険制度内でのサービスであることに変わりありません。
 低所得者の保険料に軽減についても拡充しており、負担増だけを行った改正ではありません。

 次に、保険料改定の影響についてです。
 保険料の収納未済額の総額は、過去の累積分を含むもので収納率が落ちているわけではありません。保険料が払えず、サービスが受けられない方が増えているという事実はありません。

 次に、介護報酬についてです。
 介護報酬は、国の社会保障審議会の答申に基づき、賃金や物価の状況、各サービスの収支状況等を踏まえて定められたものです。区は報酬加算について事業者へ周知を行っています。国に見直しを求める考えはありません。

 次に、介護予防・日常生活支援総合事業についてです。
 総合事業では、訪問や通所サービスの利用にあたっては、要介護の認定は必要ないため、認定の案内を全ての方に行う必要はありません。また、サービス提供は、ケアマネジメントのもとに決定しており、あたかも強制しているかのような発言がありましたが、そのような実態はありません。

 総合事業における区独自の訪問サービス従事者は、認知症への対応など14時間の研修を受講しており、従事者の質は確保していると考えています。受け入れ可能な事業所は、約140か所あります。

 介護人材の確保については、今年度から初任者研修受講料の助成や介護事業所の求人・採用活動を支援するアドバイザー派遣事業を実施しています。介護職員の処遇改善は、介護報酬の中で、国の責任において実施されるべきものです。国へは本年8月に、財政措置の拡充や介護人材の処遇改善等について要望しています。

 次に、国の介護保険制度の見直しについてです。
 現在、国の社会保障審議会において、平成30年度からの制度改正に向けた議論が行われています。給付の見直しについては、議論が始まったところであり、見直しの具体的な内容は明らかになっていません。

 区は、第7期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向け、高齢者基礎調査を実施して課題を検証し、今後の高齢者の増加を踏まえた地域包括ケアシステムの確立と持続可能性の確保を進めてまいります。以上であります。


【坂尻まさゆき議員】
 次に就学援助についてです。
 私たちは、今年の予算特別委員会で、就学援助費の入学準備金の前倒し支給の実施を区に求めました。現在、練馬では入学準備金の支給は早くても8月上旬で、必要な時期に支給されないため重い負担となってきたからです。

 それに対し区は、対象となる世帯の前年度の所得を把握しなければならないとして、入学後の支給にこだわってきました。しかし、とくに中学校の入学準備金については、小学6年生への支給とすれば可能であり、小学校についても他自治体で行われているように前年度から対応すれば可能ではありませんか。区は導入に向けて何が課題とお考えですか。答弁を求めます。

 さらに区は答弁でPTAなどが実施している制服などのリサイクルを前倒し支給を実施しない理由にしてきました。しかし、区はこのリサイクルについて、現状を正確に把握しておらず、それによって子どもたちに必要な物が届いているのかも把握していません。こうした状況でなぜ前倒し支給をしない根拠となるのでしょうか。

 この間、国も平成27年に各教育委員会に通達を出し、要保護者への支給は年度当初から、援助が必要な時期に速やかに支給するよう配慮することを求めています。この通知どおり前倒し支給を早急に実施すべきではありませんか。お答えください。

 入学準備金の金額が実態に即しているかも問題です。現在、区の援助額は小学校で23,890円、中学校で26,860円となっています。しかし、国会でのわが党に対する文科省の答弁で、2014年度に行った学習費調査によると要保護世帯の新入学児童生徒の学用品等の経費は、小学生が53,697円、中学生が58,603円であったと答えています。これは援助額が実態とかい離していることを国が認めたものです。しかし区は、入学時にどれくらいの経費が必要か把握もしていません。少なくとも調査を行い、実態に合わせて入学準備金の増額を行うべきではありませんか。2点答弁を求めます。

 援助品目についても拡充していくことが必要です。とくに生活保護受給者に認められたクラブ活動費、PTA会費、生徒会費は早急に品目に入れるべきです。区はクラブ活動費については、費用にバラつきがあることから、対象拡大は難しいとしていますが、それでは準要保護世帯の子どもたちに費用の高いクラブ活動に参加するなと言っているようなものです。子どもたちのやる気や自己肯定感を傷つけるこうした現状を改善するよう強く求めます。答弁を求めます。

 もしお金の問題で安心して教育を受けることができなければ、子どもたちの自己肯定感が育たず、教育にも大きな影響を与えます。またこの間、紹介してきたとおり、千葉県の県営住宅に住んでいた母子が生活苦を理由に無理心中を図ったことも教育費が原因の一つとなっていました。こうした状況を見れば子どもたちの命にも直結している問題だと言わなければなりません。

 そもそも憲法には、「義務教育はこれを無償とする」と明記されています。しかし、現行の就学援助でさえこの理念とは大きくかい離しており、早急に充実・改善すべきです。

【大羽教育振興部長】
 はじめに入学準備金の支給時期についてです。
 就学援助は、前年度の所得に基いて対象の判断をしており、所得の確定する、7月以降の支払いを原則としております。
 また、入学準備金の支給対象を公立中学校1年生の子供のいる世帯としており、小学校6年生の段階で、支給することは考えておりません。
 なお、「平成27年度要保護児童生徒援助費補助金の事務処理について」の文科省通知において、援助を必要とする時期に速やかに支給する配慮を求めている点については、すでに、就学旅行費や移動教室費などについて、前年度の要保護基準の対象者に対して、費用負担が生じる前に給付を行っております。
 入学準備金は、23区すべてで費目として設定され、金額についてもおおむね同程度となっており、妥当な水準だと考えています。改めて支給水準の調査を行うことや、金額の増額を行うことは考えておりません。

 クラブ活動費については、任意の参加であること、活動に必要な用具等が多様で金額の差も大きいことから、多くの区で援助を行っておりません。現時点では費目として追加する考えはありません。
 今後も23区の状況を把握しながら制度を適切に運用してまいります。


【坂尻まさゆき議員】
 次に若者支援についてです。
 第一は、ねりまサポステについてです。ねりま若者サポートステーションは2013年に開所し、若者自立支援事業も同時に担ってきました。自信を失い一人悩んできた人など様々な若者を対象に、一歩を踏み出すための活動を重ね、2015年は139人の就労決定がありました。所長含め8人のスタッフが頑張り、若い人が持っている力や自信を引き出すことに努力しています。

 支援の手が届くよう現場としても工夫をしていますが、必要な人に情報が届いていない現状があります。悩んでいる人が一人でも多くサポステにつながるよう、チラシをコンビニやインターネットカフェに置くなど広報に力を入れること、保健所や保健相談所など行政内の情報連携を強めることを求めます。お答えください。

 またサポステでは、経験を出し合いながら労働法についても学んでいます。そこで初めて法令違反のもとで働いていたと知る若者もいるのです。労働法の周知は大変大事です。東京都が発行しているポケット労働法を、ワークサポートねりまなど就労に関わる機関、区民事務所などの区の施設、さらに区内の高校や大学で配布してはどうでしょうか。成人式で新成人に配布するという方法もあります。お答えください。

 開設以来、ねりまサポステは同一事業者を区が推薦し厚労省が選定していますが、選定は年度ごとになっており、毎年企画競争にさらされています。事業の性格上、粘り強い取り組みが必須であり、長期的展望を持てることが大切です。今後も事業の継続性や安定性がはかれるよう、国に対し制度の改善を求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。また、サポステは就労の成果によってランク付けされ予算にも差がつけられています。ねりまはBランクで2,100万円、このうちスタッフ一人当たり人件費は300万円以内です。

 決して高くはない賃金、そして毎年事業者選定があるため、ずっと働き続けられるのかスタッフ自身も将来不安を持っています。全国の関係者のなかからは「不安定な人が不安定な人を支援しているようだ」との声が出された、と聞きました。自立支援事業を委託している練馬区として、人材の安定にも配慮した予算措置など支援を充実することを求めます。答弁を求めます。

 第二は若者への住宅支援についてです。
 低賃金・不安定雇用が広がっているもと、高い家賃が若者の自立を困難にしています。年収200万円未満の若者の77.4%が親と同居しているといわれ、身内からのサポートもない若者はさらに困難を抱えています。世田谷区では児童養護施設退所者にシルバーピアの空き室を使って、月額1万円で住まいを提供しています。区としても、住居を確保して安価で提供することや、家賃補助を創設し若者を支援することを求めます。お答えください。

【堀こども家庭部長】
 ねりま若者サポートステーションについては、平成25年6月の開設以降、特に周知に力を入れてきました。すでに区内の都立学校、区内中学校をはじめ、学校教育支援センターや保健相談所等区内関係施設に、事業の案内等を配布しています。コンビニエンスストアやインターネットカフェにも働きかけを行っています。また、保健相談所などの関係機関から相談があった場合には、自立に向けた個別支援に繋げています。
 今後も、ねりま若者サポートステーションの広報に努めるとともに、関係機関等の連携強化を図ってまいります。

 就労が困難な若者には、労働法だけではなく、職業意識の啓発、就労の基礎的知識等を学ぶ機会や、個人の状況に応じたきめ細かい支援が必要です。したがって、労働法に限った冊子等の配布は、現時点では考えていません。

 次に、若者サポートステーションの運営についてです。
 本事業は国の事業であり、運営事業者は区が選定し、厚生労働省が決定しています。その上で、区は独自事業を追加して、事業の改善・充実を進めてきました。
 今後も、必要に応じて、国に要請を行いながら、事業の安定的な継続を図っていきます。

 若者自立支援事業については、現行の予算に加え、平成28年度から、東京都の補助金を活用した、事業者向け企業セミナーや雇用安定のフォローアップ相談等を始めるなど、人員体制も含めて事業の充実に努めてきました。
 区としては、ねりま若者サポートステーションの運営支援等を通じた各関係機関と緊密な連携のもと、若者への支援のさらなる充実を図っていきます。

 次に、若者への住宅支援についてです。
 若者の自立には、就業による経済的自立を促すことが何より重要です。そのためには、住宅への支援だけでなく、教育、社会保障、健康医療、家族との関わりへの対応等、国、都、区による包括的な取り組みが必要と考えます。
 支援が必要とされる児童養護施設退所者等に対しては、都が家賃や生活費等を貸し付ける事業を行っており、区として、若者向けに住宅の確保や家賃補助を行う考えはありません。


【坂尻まさゆき議員】 
 第3は奨学金の問題です。奨学金制度は貸与制が主流であり、平均300万円という借金を背負います。それは学生をバイト漬けにし、ブラックバイトが横行する原因にもなっています。

 世田谷ではやはり児童養護施設退所者のため給付制奨学金を開始し、今年度は11人の若者が給付を受けており、小金井市でも給付制で30人が奨学金を受けています。
 給付制奨学金は本来国のやるべきことで、安倍政権も「検討を進める」としていますが、どうなるかは不透明です。
 国の対応を待たず、区独自の給付制奨学金をできるところから始めるべきではないでしょうか。奨学金制度についての現状認識も併せて、お答えください。

【福島福祉部長】
 奨学金は、公的機関に加え、様々な民間団体も実施しており、中には一定の要件を満たせば無利子で奨学金を受け取ることができたり、返還額の減額や返還期限が猶予されるものもあります。
 区においては、練馬区社会福祉協議会が、無利子で教育支援資金を受けることができる生活福祉資金貸付制度を実施しています。
 区が給付型奨学金を創設するには、区民の皆様の理解や費用対効果などの様々な視点から検討する必要があります。当面は、現在、国において進められている議論を注視してまいります。
 区としましては、区民からの奨学金や学費負担の相談に対して、一人ひとりの事情に応じた案内をするなど、丁寧に対応してまいります。


【坂尻まさゆき議員】
 次に主権者教育についてです。
 参議院選挙は、選挙年齢が引き下げられて初めての国政選挙になりました。総務省の速報では18歳、19歳の投票率は45.45%、全国平均の54.70%を下回る結果になりました。一方練馬区では18歳64.08%、19歳は57.72%で上回りました。この結果に満足せず、主権者教育を推進することが重要です。

 文科省は「主権者教育の推進に関する検討チーム」を設置し、6月に最終まとめを発表しました。まとめでは「社会の構成員の一人として主体的に担うことが出来る力を身に付けさせる」こととし、地域の課題解決に取り組むことや教育活動、地域行事などに子どもが主体的に関わる機会をつくる、などとしています。

 今後そうした取り組みをするのであれば、子どもたちの意見表明を大いに奨励することが大切です。子どもたちが様々な場面で躊躇なく意見でき、自分たちの力でよりよい学校や地域をつくっていく。そうした経験を積み重ねていくことは、子どもたちの主体性をつくる土台になると思います。

 しかし、主権者教育はそれで済むものではありません。選挙や政治の基本的知識と現実の政治を具体的に学んでいくこと、これらが結びつくことで、いざ選挙権を持ったときに真剣に考えよう、という意欲を持てるのではないでしょうか。
 区は前定例会の一般質問で「社会では様々な立場や意見があること、自分の考えを持つことの大切さを学べるよう指導している」など答弁しましたが、現実にある政治問題や地域課題を学ぶ必要性については、答えませんでした。改めて区の考えをお聞かせください。

 主権者教育をめぐっては政治的中立ということが言われています。
 政治的中立の第一は政党や政治権力は教育内容に介入してはならないということです。
 先般自民党本部が公式ホームページで「学校教育における政治的中立性についての実態調査」を実施したことに批判が広がりました。保護者や同僚教師に「いつ、どこで、だれがどのように」政治的中立を逸脱する言動をしたのか、事細かに密告させるものでありました。

 こんなことがあったら何が批判されるかわからず、国の副教材で言う「対立する見解がある現実の課題を取り扱う」授業などできず、生徒は政治を知ることができなくなります。一連の動きはまさに教育を侵すものです。実際の政治で何が争点でどんな意見があるのかを学ぶことは主権者教育の要です。仮にそうした授業のなかで生徒から政権に対する批判的論調があらわれたとしても、それを偏向教育とは言えません。どんな意見も許容する寛容性があってこそ政治的中立が保障されると考えます。区の見解をお答えください。

 政治的中立の第二は、特定の政党を支持し、又は反対するための政治教育などをしてはならない、ということです。仮に改善すべき問題が起こったとしても、政治権力が介入するべきではなく、現場の努力で解決されるべきで、それを支えることが教育行政の役割はではないでしょうか。区の見解をお答えください。

 前定例会の一般質問において、区は「教員自身の意見表明については制限を受ける」と答えました。教師が意見を押し付けてはならないことは当然ですが、様々な見解の一つとして教師が意見を述べることは、なんら問題ないことです。子どもには「自分の考えを持つことの大切さ」を指導しながら、生徒に聞かれても自身の意見は言えないでは生徒の信頼を損ないかねません。教員の知見を交えることは生徒のディスカッションを活発にすることに役立つのではないでしょうか。お答えください。
 政治について自由に意見を表明し、他人の意見に偏見なく耳を傾ける市民を育てることこそ、主権者教育です。日本共産党は、現場を委縮させる政治的圧力に強く反対するものです。

【大羽教育振興部長】
 将来の有権者となる小中学生に対する主権者教育が重要であることは言うまでもありません。区立の小中学校では、主に社会科において学習指導要領に基づき、政治の意味や役割を学んでいます。
 このことは、前定例会でご答弁いたしましたが、改めて申し上げます。
 指導に当たっては、実際の政治の動きや身近な地域課題を取り上げ、児童生徒の生活と関連付けながら理解を促すよう工夫しています。取り上げた事象を通じて、多様な意見があることについて、発達段階に応じて授業の中で適切に指導しています。
 教育基本法では「法律に定める学校は、特定の政党を支持し、またこれに反対するための政治教育その他政治的活動はしてはならない」と定められています。区立小中学校は法令に従い政治的中立を遵守することは当然のことであり、日々の教育活動において、万が一改善すべき事態が生じた場合には、引き続き、教育委員会として厳正、適切に対処していきます。
 授業における教師自身の意見表明についても、政治的中立を確保するという観点から制限を受けると考えます。児童生徒の話し合いを活性化するための手立ては教師の意見表明だけではありません。全体の奉仕者たる教員は、あくまでも公正かつ中立な立場で指導し、児童生徒が主体的に考え判断できるようにすることが大切であると考えます。


【坂尻まさゆき議員】
 次に 放射35号線について伺います。
 今年三月、東京都は「東京における都市計画道路の整備方針」(第四次事業化計画)を策定しました。
 私どもはこの問題について第一回定例会で、住宅や商店街、みどりを破壊する路線など問題のある路線は優先整備路線から外し、廃止も含め検証を行うことを求めました。しかし区は必要性の検証を行ったうえで選定している、いただいた意見を参考にしながら方針を策定していくとしながら、結局計画(案)で示した練馬区内全ての路線が優先整備路線として決定されました。

 まちづくりは地域の特性に合わせ、住民参加をなによりも大切にして行うべきです。こうした点で区内各路線が十分な検証をしたのか非常に疑問です。

 その一つが放射35号線です。この地域には緑が生い茂ったお寺や商店街があります。道路の整備によってこれらの貴重な資源が奪われ、私どもの調査では約650世帯に影響が及びます。検討の際、当該地域の状況をつぶさに調べ十分な検証をしたのでしょうか。お答え下さい。

 さらに必要性の是非を判断する項目についても問題があります。この路線は1965年、に都市計画決定され、広いところで幅員42メートル、早宮方面から桜台、豊玉を通り環七へ抜ける計画道路です。今回都市計画道路の必要性について15項目の基準のうち4項目が該当するとして必要性が確認されたとしています。

 その第一が骨格幹線道路網の形成についてです。骨格幹線道路は近隣県や全都的な交通の流れに寄与する役割を持っていますが、この路線は23区の骨格幹線道路が持つ本来の構造である、都心部から同心円のようにまわる環状線でもなく、外に向かって走る放射線でもなく、骨格幹線道路の機能を果たす構造になっていません。

 第二に交通処理機能の確保については、都市計画道路の交通容量の最低基準である一日12,000台の半分、6,000台を指標としていますが、この基準自体に問題があるのではありませんか。6,000台といえばガラガラ道路です。専門家から根拠について指摘も受けているのです。

 第三は延焼遮断帯です。これは阪神淡路大震災の教訓からくる考え方ですが、大震災時死者の大部分は木造住宅の倒壊による圧死で、火災の最も多い原因は通電火災です。しかも延焼遮断帯を主な目的として都市計画道路を整備しているのは木造密集地域が多く、それを主眼としているのは特定整備路線です。計画線にかかる早宮・桜台・練馬などはそうした地域ではありません。こうした点からみて莫大な費用と時間と住民犠牲の上に成立する都市計画道路に依存した延焼遮断帯の計画は最適な手法なのでしょうか。

 第四は、環境保全についてです。地球温暖化対策と車線数を言っていますが、渋滞すればCO2が排出される、だから車線数を増やして車速を上げるというのはあまりにもこじつけではないでしょうか。むしろ元々ある貴重な緑を守るとともに、交通量を減少させることが大事なのではありませんか。
 しかも今後、高齢化が進み交通量が減っていく可能性は大きいのです。これら該当する4項目どれをとっても説得力にとぼしく、まさに先に道路計画ありきと言われても仕方ありません。練馬区としての認識をお聞きします。さらに地権者はじめ地元住民の声を良く聞き、都市計画変更を都に申し入れるべきです。二点お答え下さい。

 関連して、今回優先整備路線とされた区内の計画道路は、ほとんどが2車線であると思われ、環境アセスメントの対象外とされています。これでは住民は道路が環境に与える影響を知ることができません。練馬区にはまちづくりの主体は地域住民であるとした「まちづくり条例」があります。この精神にたち2車線道路についても環境アセスや騒音などの調査を実施すべきではありませんか。答弁を求めます

 以上を持ちまして日本共産党練馬区議団を代表しての一般質問を終わります。

  
【前川区長】
 都市の安全と繁栄は、道路や公共交通など交通インフラの充実なしにはあり得ません。
 東京は、関東大震災後と第二次大戦後の2回にわたり、道路整備のチャンスを逃してしまいました。それでも東京都、そして23区は、住民の皆様の理解を頂きながら、営々として道路を造り続け、現在の東京の道路網に繋がっています。
 練馬区においては、発展が急激であっただけに、道路などの都市インフラ整備が不十分なまま都市化が進みました。現在も都市計画道路の整備が他区に比べ著しく立ち遅れており、区民生活の安全、環境、利便性の確保に大きな障害となっております。
 少子高齢化が確実に進む現在、東京都の活力、財政力は長く続くものではありません。今が、立ち遅れた都市計画道路の整備に取り組む最後のチャンスであります。
 行政には、歯を食いしばってでも、頑張らなくてはならない時があります。
 住民の皆様のご理解をいただきながら都市計画道路の整備を着実に進め、次世代に誇れるまちづくりを必ず築いてまいります。私からは以上であります。
 その他の質問につきましては、技監および関係部長に答弁いたさせます。

【宮下技監】
 本年3月に策定した第四次事業化計画の検討は、既に決定している都市計画道路について、4つの基本目標と15の検証項目により、ネットワークの必要性を検証し、その上で重要性・緊急性を判断する6つの項目により、優先整備路線を選定しています。地域の詳細な状況については、事業を進める際に調査し、整備の具体的な内容や進め方を検討します。
 計画の検討に際しての検証項目は、これまで整備された都市計画道路の効果等を踏まえ、都市計画道路の持つ機能を、専門的な見地から、あらためて定めたものです。放射35号線は、こうした検証により必要性が確認され、優先整備路線として選定されました。
 放射35号線は、都県境を跨ぐ広域的な骨格幹線道路であり、区内の東部地域の南北交通を担い、火災による延焼の遮断や、災害時の避難路や消防・救急活動の要となる重要な路線です。不確かな代替措置や方法に期待して、都市計画道路の整備を怠ることは許されません。整備を進めることは、行政の責務です。整備にあたり、必要となる都市計画変更等の手続きについては、東京都と連携して適切に進めてまいります。
 なお、法令等の対象となっていない環境影響評価を行う考えはありません。これまでも事業化に際しては、必要な調査等を行ってきており、事業者の東京都には必要に応じて要請をしてまいります。